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平成26年 海事代理士試験 船員法

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平成26年海事代理士試験 船員法の解説

 

1.次の文章中、 に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。

(1) 船舶所有者は、雇入契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該雇入契約の相手方となろうとする者に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
① [船舶所有者の名称又は氏名]及び住所
② [給料]、[労働時間]その他の労働条件に関する事項であつて、雇入契約の内容とすることが必要なものとして国土交通省令で定めるもの

→ 根拠法令は、法32条1項。。

(32条) 船舶所有者は、雇入契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該雇入契約の相手方となろうとする者(次項において「相手方」という。)に対し、次に掲げる事項について書面を交付して説明しなければならない。
 一  船舶所有者の名称又は氏名及び住所
 二  給料、労働時間その他の労働条件に関する事項であつて、雇入契約の内容とすることが必要なものとして国土交通省令で定めるもの

 

(2) 船舶所有者は、雇入契約の内容(船員法第三十二条第一項第二号に掲げる事項に限る。)を変更したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その変更の内容並びに当該変更について[船員と合意した場所]及び [年月日]を記載した書面を船員に交付しなければならない。

→ 根拠法令は、法36条2項。

(36条2項) 船舶所有者は、雇入契約の内容(第三十二条第一項第二号に掲げる事項に限る。)を変更したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、その変更の内容並びに当該変更について船員と合意した場所及び年月日を記載した書面を船員に交付しなければならない。

 

(3) 船舶所有者が船員に与えるべき休日は、[基準労働]期間について1週間当たり平均[1]日以上とする。

→ 根拠法令は、法61条。

(61条)  船舶所有者が船員に与えるべき休日は、前条第二項の基準労働期間について一週間当たり平均一日以上とする。

 

(4) 船舶所有者は、休息時間を1日について2回に分割して船員に与える場合において、休息時間のうち、いずれか長い方の休息時間を[6]時間以上としなければならない(休息時間の分割に関する労使間の協定を締結し、国土交通大臣に届け出た場合を除く。)。

→ 根拠法令は、法65条の3第2項・3項。

(65条の3) 船舶所有者は、休息時間を一日について三回以上に分割して船員に与えてはならない。
2  船舶所有者は、前項に規定する休息時間を一日について二回に分割して船員に与える場合において、休息時間のうち、いずれか長い方の休息時間を六時間以上としなければならない。
3  前二項の規定にかかわらず、船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、その使用する船員の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、船員の過半数で組織する労働組合がないときは船員の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを国土交通大臣に届け出た場合においては、その協定で定めるところにより、休息時間を、一日について三回以上に分割して、又は前項に規定する場合において休息時間のうちいずれか長い方の休息時間を六時間未満として、船員(海員にあつては、次に掲げる者に限る。)に与えることができる

 

(5) 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、[4]箇月の範囲内においてその負傷又は疾病がなおるまで毎月1回、国土交通省令の定める報酬(以下標準報酬という。)の月額に相当する額の傷病手当を支払い、その[4]箇月が経過してもその負傷又は疾病がなおらないときは、そのなおるまで毎月1回、標準報酬の月額の[百分の六十]に相当する額の傷病手当を支払わなければならない。

→ 根拠法令は、法91条1項。

(91条)船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、四箇月の範囲内においてその負傷又は疾病がなおるまで毎月一回、国土交通省令の定める報酬(以下標準報酬という。)の月額に相当する額の傷病手当を支払い、その四箇月が経過してもその負傷又は疾病がなおらないときは、そのなおるまで毎月一回、標準報酬の月額の百分の六十に相当する額の傷病手当を支払わなければならない。

 

2.次の文章中、正しいものには○を、正しくないものには×を回答欄に記入せよ。

(1) 港のみを航行する総トン数 20 トン以上の旅客船に乗り組む者には、船員法が適用される。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法1条1項・2項。港のみを航行する船舶に乗り組む者は、「船員」にあたりません。

(1条)この法律において「船員」とは、日本船舶又は日本船舶以外の国土交通省令で定める船舶に乗り組む船長及び海員並びに予備船員をいう。
2  前項に規定する船舶には、次の船舶を含まない。
一  総トン数五トン未満の船舶
二  湖、川又は港のみを航行する船舶
三  政令の定める総トン数三十トン未満の漁船

 

(2) 船舶の衝突が発生したとき、船員法第十九条に基づく航行に関する報告については、最寄りの地方運輸局等の事務所に対し、必要に応じて電話連絡又はメールの手段を講じればよい。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船員法19条及び施行規則14条1項。

(19条)船長は、左の各号の一に該当する場合には、国土交通省令の定めるところにより、国土交通大臣にその旨を報告しなければならない。
 一  船舶の衝突、乗揚、沈没、滅失、火災、機関の損傷その他の海難が発生したとき。
 二  人命又は船舶の救助に従事したとき。
 三  無線電信によつて知つたときを除いて、航行中他の船舶の遭難を知つたとき。
 四  船内にある者が死亡し、又は行方不明となつたとき。
 五  予定の航路を変更したとき。
 六  船舶が抑留され、又は捕獲されたときその他船舶に関し著しい事故があつたとき。

(施行規則14条1項) 船長は、法第十九条 の規定により報告をしようとするときは、遅滞なく、最寄りの地方運輸局等の事務所(省略)において、地方運輸局長又は指定市町村長(以下「地方運輸局長等」という。)に対し第四号書式による報告書三通を提出し、かつ、航海日誌を提示しなければならない。ただし、滅失その他やむを得ない事由があるときは、航海日誌の提示は、要しない。

 

(3) 船員は、負傷のため職務に堪えないとき、雇入契約を解除することができる。

答え : ○

→ 根拠法令は、法41条1項3号。

第四十一条  船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一  船舶が雇入契約の成立の時における国籍を失つたとき。
二  雇入契約により定められた労働条件と事実とが著しく相違するとき。
三  船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき
四  船員が国土交通省令の定めるところにより教育を受けようとするとき。

 

(4) 船員法第七十四条第一項の規定により、船員に与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務6箇月について 20 日とし、連続した勤務3箇月を増すごとに5日を加える。(ただし、沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員を除く。)

答え : ☓

→ 根拠法令は、法74条1項本文、75条1項本文、同条2項。

(74条1項本文) 船舶所有者は、船員が同一の事業に属する船舶において初めて六箇月間連続して勤務(船舶のぎ装又は修繕中の勤務を含む。以下同じ。)に従事したときは、その六箇月の経過後一年以内にその船員に次条第一項又は第二項の規定による日数の有給休暇を与えなければならない。

(75条) 前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務六箇月について十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。ただし、同項ただし書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。

2  沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員に前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、前項の規定にかかわらず、連続した勤務六箇月について十日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに三日(同項ただし書に規定する期間については、一箇月を増すごとに一日)を加える。

 

(5) 船員の故意、又は重大な過失により雇入契約を解除したときは、船舶所有者は、当該船員を送還する又はその費用を支払う必要はない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法47条2項?
 「船員の故意、又は重大な過失」が何に対するものなのか、また、だれが雇入契約を解除したのか不明ですので、適用条文を確定することができず、正解を導けないような気がします。
 が、47条2項において、船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のある場合」に、船舶所有者が船員法40条5号の規定により雇入契約を解除したであっても、「船員が自己の負担においてその希望する雇入港等まで移動することができないときは、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港等まで船員を送還しなければならない。」とされていますので、問題文を以下のように読み替えれば法47条2項を根拠に☓という答えを導くことができます。
 

「船員の職務外の負傷又は疾病につき」船員の故意、又は重大な過失により「船舶所有者」が雇入契約を解除したときは、船舶所有者は、当該船員を送還する又はその費用を支払う必要はない。
 

(47条2項)  船舶所有者は、第四十条第二号から第四号までの規定により雇入契約を解除した場合又は同条第五号の規定により雇入契約を解除した場合(船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のある場合に限る。)において、船員が自己の負担においてその希望する雇入港等まで移動することができないときは、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港等まで船員を送還しなければならない。ただし、送還に代えてその費用を支払うことができる。

 

 

(6) 災害補償の支払いを受けるべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由により労働者災害補償保険法若しくは船員保険法による保険給付又は国土交通省令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。

答え : ○

→ 根拠法令は、船員法95条。前問と異なり、条文そのままの出題。

(95条) 第八十九条から前条までの規定により療養又は費用、手当若しくは葬祭料の支払(以下災害補償と総称する。)を受くべき者が、その災害補償を受くべき事由と同一の事由により労働者災害補償保険 (昭和二十二年法律第五十号)若しくは船員保険法 による保険給付又は国土交通省令で指定する法令に基いて災害補償に相当する給付を受くべきときは、船舶所有者は、災害補償の責を免れる。

 

(7) 船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手当、送還手当、傷病手当又は行方不明手当のうち、その2以上をともに支払うべき期間については、いずれか1の多額のものを支払えばよい。

答え : ○

→ 根拠法令は、法114条1項。

(114条1項)  船舶所有者は、給料その他の報酬、失業手当、送還手当、傷病手当又は行方不明手当のうち、その二以上をともに支払うべき期間については、いずれか一の多額のものを支払うを以て足りる。

 

3.船舶所有者が船員との雇入契約を解除することができるのはどのようなときか。船員法第四十条に規定する解除事由を3つ挙げよ。(3点)

答え : ①船員が著しく職務に不適任であるとき、②船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき、③海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき、④海員が著しく船内の秩序をみだしたとき、⑤船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき

→ 根拠法令は、法40条各号。

(40条) 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一  船員が著しく職務に不適任であるとき。
二  船員が著しく職務を怠つたとき、又は職務に関し船員に重大な過失のあつたとき。
三  海員が船長の指定する時までに船舶に乗り込まないとき。
四  海員が著しく船内の秩序をみだしたとき。
五  船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
六  前各号の場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。

                                 以上

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