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平成28年 海事代理士試験 船員法

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平成28年海事代理士試験 船員法の解説

 

1.法令の規定を参照した次の文章中の に入る適切な語句を下欄の語群の中から選び、その記号を解答欄に記入せよ。なお、1つの語句につき選択出来るのは2回までとする。

(1) この法律の規定及びこの法律に基づく命令の規定のうち、船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には[船舶管理人]に、船舶貸借の場合には [船舶借入人]に、船舶所有者、[船舶管理人]及び[船舶借入人]以外の者が船員を使用する場合にはその者にこれを適用する。

→ 根拠法令は、船員法5条1項。

第五条  この法律の規定及び第百三十五条第一項及びこの法律に基づく命令の規定のうち、船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に、船舶所有者、船舶管理人及び船舶借入人以外の者が船員を使用する場合にはその者にこれを適用する。

 

 

(2) 船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかったときは、船舶所有者は、[三]箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。

→ 根拠法令は、船員法89条2項本文。

  船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。

 

(3) 船舶所有者は、国土交通省令で定めるところにより、妊娠中又は出産後 [一]年以内の女子(以下「妊産婦」という。)の船員を国土交通省令で定める母性保護上有害な作業に従事させてはならない。

→ 根拠法令は、船員法88条

 

 

(4) 船員が職務上死亡したときは、船舶所有者は、遅滞なく、国土交通省令の定める遺族で葬祭を行う者に標準報酬の月額の[二]箇月分に相当する額の葬祭料を支払わなければならない。

→ 根拠法令は、船員法94条。

 

(5) 海上労働証書の交付を受けるために受検した法第100条の2第1項に基づく検査の結果に不服がある者は、その結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して[三十]日以内に、その理由を記載した文書を添えて国土交通大臣に再検査を申請することができる。

→ 根拠法令は、船員法100条の9第1項。

  第百条の二第一項、第百条の四又は第百条の六第一項の検査(以下「法定検査」という。)の結果に不服がある者は、その結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内に、その理由を記載した文書を添えて国土交通大臣に再検査を申請することができる。

 

(6) この法律に規定する国土交通大臣の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令の定める基準により国土交通大臣の指定する[市町村長]が行うこととすることができる。

→ 根拠法令は、法104条1項。

 

(7) 法第111条の規定に基づく、事業状況報告及び災害疾病発生状況報告は、それぞれ次の各号に定める期日までに、所轄地方運輸局長にこれをしなければならない。
一 事業状況報告書 毎年[10]月末日
二 災害疾病発生状況報告書 毎年[4]月末日

→ 根拠法令は、船員法施行規則73条1項。

 

2.法令の規定を参照した次の文章のうち、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。

(1) この法律において「海員」とは、船内で使用される船長及び船長以外の乗組員で労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法2条1項。海員には、船長は含まれません。

第二条  この法律において「海員」とは、船内で使用される船長以外の乗組員で労働の対償として給料その他の報酬を支払われる者をいう。

 

(2) 次の文章は船員法を遵守しているケースの説明である。「船長は、船長の許可なく船内の禁止された場所で喫煙した海員A及びその事実を知る海員Bを、A及びB以外の海員5人(以下、立会人という。)を立ち会わせて取り調べ、立会人の意見を聴いた上で、Aを懲戒処分とすることを決定し、停泊日数及び航海日数のあわせて1週間の上陸禁止処分とした。」

答え : ○ 

→ 根拠法令は、法21条7号、22条、24条、23条。

(21条)  海員は、次の事項を守らなければならない。
七  船長の許可なく電気若しくは火気を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。

(22条)  船長は、海員が前条の事項を守らないときは、これを懲戒することができる。

(24条) 船長は、海員を懲戒しようとするときは、三人以上の海員を立ち会わせて本人及び関係人を取り調べた上、立会人の意見を聴かなければならない。

(23条)  懲戒は、上陸禁止及び戒告の二種とし、上陸禁止の期間は、初日を含めて十日以内とし、その期間には、停泊日数のみを算入する。

 

(3) 船舶所有者は、雇入契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇入契約の成立等」という。)があったときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならないが、船舶所有者が届け出ることができないときは、船長が、船舶所有者に代わって届け出なければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法37条1項・2項。原則と例外が逆になっています。

(37条) 船長は、雇入契約の成立、終了、更新又は変更(以下「雇入契約の成立等」という。)があつたときは、国土交通省令で定めるところにより、遅滞なく、国土交通大臣に届け出なければならない。
2  前項の場合において船長が届け出ることができないときは、船舶所有者は、船長に代わつて届け出なければならない。

 

(4) 船員が負傷または疾病のため職務に堪えないとき、船舶所有者は雇入契約を解除することができるが、船員は解除することができない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法40条5号及び41条1項3号。この場合だけは、双方から解除することができます。

(40条)  船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
五  船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

(41条) 船員は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
三  船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。

 

(5) 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、当該雇入契約を締結した船員の氏名、住所及び生年月日等を記載した書面を二通作成し、うち一通を船員に交付し、他の一通を船員の死亡又は雇入契約の終了の日から三年を経過する日までの間、主たる船員の労務管理の事務を行う事務所に備え置かなければならない。

答え : ○

→ 根拠法令は、船員法施行規則16条の4及び法36条1項。

(施行規則16条の4) 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、法第三十六条第一項 に規定する書面を二通作成し、うち一通を船員に交付し、他の一通を船員の死亡又は雇入契約の終了の日から三年を経過する日までの間、主たる船員の労務管理の事務を行う事務所に備え置かなければならない。

(36条1項) 船舶所有者は、雇入契約が成立したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した書面を船員に交付しなければならない。
  一  第三十二条第一項各号に掲げる事項
  二  当該雇入契約を締結した船員の氏名、住所及び生年月日
  三  当該雇入契約を締結した場所及び年月日



(6) 海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者が受検する中間検査の時期は、海上労働証書の有効期間の起算日の後二回目と三回目の検査基準日(海上労働証書の有効期間が満了する日に相当する毎年の日をいう。以下同じ。)の間であるが、その時期を繰り上げて中間検査を受検し、合格した船舶の次回以降の中間検査の時期については、検査基準日を中間検査に合格した日の前日に相当する毎年の日とする。

答え : ○

→ 根拠法令は、法100条の4及び船員の労働条件等の検査等に関する規則第8条。ちょっと面倒ですが、丁寧に読み替えていくと、「時期を繰り上げて受けた中間検査に合格した船舶の次回以降の中間検査の時期については、中間検査に合格した日の後の二回目の検査基準日(中間検査に合格した日の前日に相当する毎年の日をいう。以下この項において同じ。)から三回目の検査基準日までの間」となりますので、正解です。

(100条の4)海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者は、当該海上労働証書の有効期間中において国土交通省令で定める時期に、当該船舶に係る船員の労働条件等について国土交通大臣又は登録検査機関の行う中間検査を受けなければならない。

(規則8条) 中間検査の時期は、海上労働証書の有効期間の起算日の後の二回目の検査基準日(海上労働証書の有効期間が満了する日に相当する毎年の日をいう。以下この項において同じ。)から三回目の検査基準日までの間とする。
2  中間検査は、その時期を繰り上げて受けることができる
3  前項の規定によりその時期を繰り上げて受けた中間検査に合格した船舶の次回以降の中間検査の時期についての第一項の適用については、「海上労働証書の有効期間の起算日」とあるのは「中間検査に合格した日」と、「海上労働証書の有効期間が満了する日」とあるのは「中間検査に合格した日の前日」とする。

 

3.船員法第100条の2の規定に基づく定期検査を初めて受ける場合において、海上労働検査申請書に添付しなければならない書類を、臨時海上労働証書の写し及び海上労働遵守措置を記載した書類以外に「~の写し」という形で2つ答えよ。

答え : 報酬支払簿の写し 及び 休日付与簿の写し

→ 根拠法令は、法100条の2第1項及び船員の労働条件等の検査等に関する規則5条1号。

(100条の2)  総トン数五百トン以上の日本船舶(漁船その他国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。以下「特定船舶」という。)の船舶所有者は、当該特定船舶を初めて本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海(以下「国際航海」という。)に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生その他の労働環境及び療養補償(以下「労働条件等」という。)について、国土交通大臣又は第百条の十二の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録検査機関」という。)の行う定期検査を受けなければならない。次条第一項の海上労働証書又は第百条の六第三項の臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶をその有効期間満了後も国際航海に従事させようとするときも、同様とする。

(規則5条) 海上労働検査申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
一  定期検査を初めて受ける場合は、次の書類
イ 臨時海上労働証書の写し(臨時海上労働証書の交付を受けている船舶に限る。)
ロ 報酬支払簿の写し
ハ 休日付与簿の写し
ニ 当該船舶が法第百条の三第一項第一号 から第三十一号 までに掲げる要件に適合するために船舶所有者が実施すべき事項並びにその管理の体制及び方法(以下「海上労働遵守措置」という。)を記載した書類


4.船員法第118条第1項の規定に基づき、船舶所有者が、乗組員の中から救命艇手を選任しなければならない船舶とは、平水区域を航行区域とする船舶以外のどのような船舶か2つ答えよ。

答え : 旅客船 及び 旅客船以外の最大とう載人員100人以上の船舶。

→ 根拠法令は、法118条1項及び救命艇手規則1条。

(118条1項) 船舶所有者は、国土交通省令の定める船舶については、乗組員の中から国土交通省令の定める員数の救命艇手を選任しなければならない。

(規則1条) 船員法 (以下「法」という。)第百十八条第一項 の国土交通省令の定める船舶は、平水区域を航行区域とする船舶以外の次に掲げる船舶とする。
一  旅客船
二  旅客船以外の最大とう載人員百人以上の船舶

                                以上

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