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平成28年 海事代理士試験 船舶安全法(口述)

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平成28年 海事代理士試験 船舶安全法(口述)の解説

 

1 船舶検査証書の有効期間はどの時点から最大どれだけの期間延長できるか述べよ

 有効期間終了後3ヶ月まで

→ 根拠法令は、船舶安全法10条2項。船舶検査証書の有効期間は、筆記試験の平成26年にも出題されていました。

 船舶検査証書ノ有効期間満了スル迄ノ間ニ於テ国土交通省令ノ定ムル事由ニ因リ定期検査ヲ受クルコト能ハザル船舶ニ付テハ当該船舶検査証書ハ其ノ有効期間満了後三月迄ハ仍其ノ効力ヲ有ス此ノ場合ニ於テ必要ナル事項ハ国土交通省令ヲ以テ之ヲ定ム

 

2 平水区域を航行区域とする旅客船の船舶検査証書の有効期間は何年か述べよ。 

 5年

→ 根拠法令は、船舶安全法10条1項。「平水区域を航行区域とする」という部分はひっかけで、旅客船はどこを航行区域としていても5年が正解です。

 船舶検査証書ノ有効期間ハ五年トス但シ旅客船ヲ除キ平水区域ヲ航行区域トスル船舶又ハ小型船舶ニシテ国土交通省令ヲ以テ定ムルモノニ付テハ六年トス

 

3 本法の全部又は一部が適用される非日本船舶の例を一つ述べよ。

 ①本法施行地の各港間又は湖川港湾のみを航行する船舶②日本船舶を所有し得る者の借入れたる船舶にして本法施行地と其の他の地との間の航行に従事するもの③本法施行地に在る船舶 のいずれか一つ。

→ 根拠法令は、船舶安全法29条の7。非日本船舶に関しては、H26~H28の間の筆記試験で出題されていないところなので、結構難しい部類に入るのでは。

 日本船舶ニ非ザル船舶ニシテ左ニ掲グルモノニハ政令ヲ以テ本法ノ全部又ハ一部ヲ準用ス

一  本法施行地ノ各港間又ハ湖川港湾ノミヲ航行スル船舶

二  日本船舶ヲ所有シ得ル者ノ借入レタル船舶ニシテ本法施行地ト其ノ他ノ地トノ間ノ航行ニ従事スルモノ

三  前二号ノ外本法施行地ニ在ル船舶

 

4 船舶安全法施行規則の漁船の定義を2つ述べよ。

 ①もっぱら漁ろうに従事する船舶

 ②漁ろうに従事する船舶であって漁獲物の保蔵又は製造の設備を有するもの

 ③もっぱら漁ろう場から漁獲物又はその化工品を運搬する船舶

 ④もっぱら漁業に関する試験、調査、指導若しくは練習に従事する船舶又は漁業の取締りに従事する船舶であって漁ろう設備を有するもの

 のうち、2つ。

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則1条2項。筆記試験も含め、漁船関係はよく出ますね。覚えやすいのは、①から③でしょうか。

2  この省令において「漁船」とは、次の各号の一に該当する船舶をいう。

一  もつぱら漁ろう(附属船舶を用いてする漁ろうを含む。以下次号において同じ。)に従事する船舶

二  漁ろうに従事する船舶であつて漁獲物の保蔵又は製造の設備を有するもの

三  もつぱら漁ろう場から漁獲物又はその加工品を運搬する船舶

四  もつぱら漁業に関する試験、調査、指導若しくは練習に従事する船舶又は漁業の取締りに従事する船舶であつて漁ろう設備を有するもの

 

5 船舶安全法第5条の規定による船舶検査を行う管海官庁が、関東運輸局長となる場合を2つ述べよ。

 ①関東運輸局長が管轄する地で受検する場合

 ②本邦外で受検する場合

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則第1条14項。同条は、平成27年の筆記試験でも出題されていました。

  この省令において「管海官庁」とは、原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第四十五条 に規定する船舶(以下「原子力船等」という。)については国土交通大臣を、本邦にある船舶(原子力船等を除く。)並びに船舶安全法 (以下「法」という。)第六条第三項 の物件及び第六十五条の六第一項 の物件についてはその所在地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)(その所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局組織規則 (平成十四年国土交通省令第七十三号)別表第二第一号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)、同令 別表第五第二号に掲げる海事事務所又は内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十七条第一項 の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち国土交通省組織令 (平成十二年政令第二百五十五号)第二百十二条第二項 に規定する事務を分掌するものがある場合は、その運輸支局の長、その海事事務所の長又はその沖縄総合事務局に置かれる事務所の長。第十五条において同じ。)を、本邦外にある船舶(原子力船等を除く。)及び法第六条第三項 の物件については関東運輸局長をいう。

 

6 船舶安全法施行規則上、原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第45条に規定する船舶(防災等の措置が必要な船舶)について、何を管海官庁としているか述べよ。

 国土交通大臣

→ 根拠法令は、またもや船舶安全法施行規則1条14項。前の問題とあいまって、同条項全体が聞かれていることになります。

 この省令において「管海官庁」とは、原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第四十五条 に規定する船舶(以下「原子力船等」という。)については国土交通大臣を、本邦にある船舶(原子力船等を除く。)並びに船舶安全法 (以下「法」という。)第六条第三項 の物件及び第六十五条の六第一項 の物件についてはその所在地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)(その所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局組織規則 (平成十四年国土交通省令第七十三号)別表第二第一号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)、同令 別表第五第二号に掲げる海事事務所又は内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十七条第一項 の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち国土交通省組織令 (平成十二年政令第二百五十五号)第二百十二条第二項 に規定する事務を分掌するものがある場合は、その運輸支局の長、その海事事務所の長又はその沖縄総合事務局に置かれる事務所の長。第十五条において同じ。)を、本邦外にある船舶(原子力船等を除く。)及び法第六条第三項 の物件については関東運輸局長をいう。

 

7 航行区域の種類を全て述べよ。

  平水区域・沿海区域・近海区域・遠洋区域

→ 根拠法令は、船舶安全法9条1項及び船舶安全法施行規則第5条。この部分は、平成27年でも出題されていました。

 管海官庁ハ定期検査ニ合格シタル船舶ニ対シテハ其ノ航行区域(漁船ニ付テハ従業制限)、最大搭載人員、制限汽圧及満載吃水線ノ位置ヲ定メ船舶検査証書及船舶検査済票(小型船舶ニ限ル)ヲ交付スベシ

 法第九条第一項 の規定により定める航行区域は、平水区域、沿海区域、近海区域又は遠洋区域の四種とする。

 

8 最大とう載人員に関する規定の適用に関し、12歳未満の者の取扱について述べよ。(12歳未満の者何人をもって船舶検査証書記載上の1人分に換算するか?)

 1歳未満の者は算入しないものとし、国際航海に従事しない船舶に限り1歳以上12歳未満の者2人をもって1人に換算するものとする。

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則9条1項。H26~H28の筆記試験に出題なし。

 最大とう載人員に関する規定の適用については、一歳未満の者は算入しないものとし、国際航海に従事しない船舶に限り一歳以上十二歳未満の者二人をもつて一人に換算するものとする。

 

9 国際航海に従事する長さ24メートル以上の貨物船が定期的に受けなければならない船舶検査を全て述べよ。

 定期検査、第2種中間検査、第3種中間検査

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則17条及び18条2項。多数の条文を想起しなければならず、H26~28の筆記試験での出題もないので、かなり難しいのではないでしょうか。

(17条)定期検査は、船舶検査証書の有効期間の満了前に受けることができる。

(18条2項)法第十条第一項 ただし書に規定する船舶以外の船舶の中間検査の時期は、次表のとおりとする。ただし、第四十六条の二第二項又は第三項の規定により船舶検査証書の有効期間が延長されたことにより当該延長期間内に同表に定める時期が到来する場合における当該時期(第三種中間検査の時期を除く。)を除く。

四 国際航海に従事する長さ二十四メートル以上の船舶(前三号上欄に掲げる船舶及び第一条第二項第一号の船舶を除く。) 第二種中間検査・第三種中間検査

 

10 総トン数20トン以上の船舶について、最初の定期検査に合格した場合に交付される2つの書類を述べよ。

 ①船舶検査証書・②船舶検査手帳

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則34条3項。先ほどの問題とうってかわり、1つの条文を知っているだけで解答可能。

 管海官庁は、船舶検査証書を初めて交付するときは、当該船舶検査証書と併せて船舶検査手帳を交付するものとする。

 

                                 以上

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