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平成27年 海事代理士試験 船員法

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平成27年海事代理士試験 船員法の解説

 


1.法令の規定を参照した次の文章中の に入る適切な語句を下欄の語群の中から選び、その記号を解答欄に記入せよ。なお、1つの語句につき選択出来るのは2回までとする。

(1) 期間の定のない雇入契約は、船舶所有者又は船員が[24]時間以上の期間を定めて書面で解除の申入をしたときは、その期間が満了した時に終了する。

→ 根拠法令は、法42条。

 

(2) 第64条第2項の規定により第60条第1項の規定又は第72条の国土交通省令の規定による労働時間の制限を超えて船員を作業に従事させる場合であつても、船員の1日当たりの労働時間及び1週間当たりの労働時間は、第60条第1項の規定及び第72条の国土交通省令の規定による労働時間を含め、それぞれ[14]時間及び[72]時間を限度とする。

→ 根拠法令は、法65条の2第1項。

 

(3) 船舶所有者は、船員(沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員を除く。)が同一の事業に属する船舶において初めて6箇月間連続して勤務に従事したときは、その6箇月の経過後1年以内にその船員に対し、与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務6箇月について[15]日とし、連続した勤務3箇月を増すごとに[5]日を加える。

→ 根拠法令は、法74条1項本文及び75条1項・2項。

(74条)船舶所有者は、船員が同一の事業に属する船舶において初めて六箇月間連続して勤務(船舶のぎ装又は修繕中の勤務を含む。以下同じ。)に従事したときは、その六箇月の経過後一年以内にその船員に次条第一項又は第二項の規定による日数の有給休暇を与えなければならない。

(75条)前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、連続した勤務六箇月について十五日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに五日を加える。ただし、同項ただし書の規定により有給休暇の付与を延期したときは、その延期した期間一箇月を増すごとに二日を加える。
2  沿海区域又は平水区域を航行区域とする船舶で国内各港間のみを航海するものに乗り組む船員に前条第一項の規定により与えなければならない有給休暇の日数は、前項の規定にかかわらず、連続した勤務六箇月について十日とし、連続した勤務三箇月を増すごとに三日(同項ただし書に規定する期間については、一箇月を増すごとに一日)を加える。

 

(4) 常時10人以上の船員を使用する船舶所有者は、食料並びに安全及び衛生、被服及び日用品、陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設、[災害補償]、失業手当、雇止手当、退職手当、送還、教育、賞罰、その他の労働条件の事項について就業規則を作成したときは、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。

→ 根拠法令は、法97条1項・2項。

(97条)常時十人以上の船員を使用する船舶所有者は、国土交通省令の定めるところにより、次の事項について就業規則を作成し、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
 一  給料その他の報酬
 二  労働時間
 三  休日及び休暇
 四  定員
2  前項の船舶所有者は、次の事項について就業規則を作成したときは、これを国土交通大臣に届け出なければならない。これを変更したときも同様とする。
 一  食料並びに安全及び衛生
 二  被服及び日用品
 三  陸上における宿泊、休養、医療及び慰安の施設
 四  災害補償
 五  失業手当、雇止手当及び退職手当
 六  送還
 七  教育
 八  賞罰
 九  その他の労働条件

 

(5) 総トン数[500]トン以上の日本船舶(漁船その他国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。以下「特定船舶」という。)の船舶所有者は、当該特定船舶を初めて[国際航海]に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生その他の労働環境及び療養補償について、国土交通大臣又は登録検査機関の行う定期検査を受けなければならない。

→ 根拠法令は、法100条の2第1項。

(100条の2) 総トン数五百トン以上の日本船舶(漁船その他国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。以下「特定船舶」という。)の船舶所有者は、当該特定船舶を初めて本邦の港と本邦以外の地域の港との間又は本邦以外の地域の各港間の航海(以下「国際航海」という。)に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生その他の労働環境及び療養補償(以下「労働条件等」という。)について、国土交通大臣又は第百条の十二の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録検査機関」という。)の行う定期検査を受けなければならない。次条第一項の海上労働証書又は第百条の六第三項の臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶をその有効期間満了後も国際航海に従事させようとするときも、同様とする。

 

(6) 船員法施行規則第3条の4第1項の船舶のうち国内航海船等以外の船舶(国内各港間のみを航海する特定高速船を除く。)であつて、出港後[24]時間を超えて船内にいることが予定される旅客が乗船するものにおいては、当該旅客に対する避難のための操練を当該旅客の乗船後最初の出港の前又は当該出港の後直ちに実施しなければならない。ただし、荒天その他の事由により実施することが著しく困難である場合は、この限りでない。

→ 根拠法令は、船員法施行規則3条の4第1項・7項。

(施行規則3条の4) 前条第一項各号に掲げる船舶における法第十四条の三第二項 の非常の場合のために必要な海員に対する操練は、非常配置表に定めるところにより海員をその配置につかせるほか、次に掲げるところにより実施しなければならない。
7  第一項の船舶のうち国内航海船等以外の船舶(国内各港間のみを航海する特定高速船を除く。)であつて、出港後二十四時間を超えて船内にいることが予定される旅客が乗船するものにおいては、当該旅客に対する避難のための操練を当該旅客の乗船後最初の出港の前又は当該出港の後直ちに実施しなければならない。ただし、荒天その他の事由により実施することが著しく困難である場合は、この限りでない。

 

2.法令の規定を参照した次の文章のうち、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。

(1) 船舶所有者はやむを得ず雇入契約が不履行となる事態に備え、あらかじめ船員と協議のもと違約金について定め、又は損害賠償額を予定する契約をしておかなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法33条。内容を全く逆にしているだけです。

(33条)  船舶所有者は、雇入契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

 

(2) 船員法第47条において、船舶所有者は同条第1項各号のいずれかに該当する場合は、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地まで船員を送還しなければならないこととしているが、船員が著しく職務に不適任であることを理由に雇入契約を解除した場合においては、送還をする必要はない。ただし、送還に代えてその費用を当該船員に支払わなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法47条1項2号及び40条1号。船員が著しく職務に不適任であることを理由に雇入契約を解除した場合でも、送還をする必要があります。なお、送還に代えてその費用を支払うこともできます。

(47条) 船舶所有者は、次の各号のいずれかに該当する場合には、遅滞なくその費用で、船員の希望により、雇入港又は雇入港までの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地(雇入れのため雇入港に招致した船員及び未成年者の船員にあつては、雇入港若しくは雇入契約の成立の時における船員の居住地又はこれらのいずれかまでの送還に要する費用の範囲内で送還することのできるその他の地。次項において「雇入港等」という。)まで船員を送還しなければならない。ただし、送還に代えてその費用を支払うことができる。
一  第三十九条の規定により雇入契約が終了したとき。
二  第四十条第一号又は第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
三  第四十条第五号又は第四十一条第一項第三号の規定により船舶所有者又は船員が雇入契約を解除したとき。ただし、船員の職務外の負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。
四  第四十一条第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
五  第四十二条の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
六  第四十三条第二項の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
七  雇入契約が期間の満了により船員の本国以外の地で終了したとき。
八  船員が第八十三条の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。

(40条)  船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一  船員が著しく職務に不適任であるとき。

 

 

(3) 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかったときは、船舶所有者は、その負傷又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならないが、雇入契約存続中であっても職務外で負傷し、又は疾病にかかったときは、この限りでない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法89条1項・2項。船員に重過失がない限りは療養補償があります。

(89条)  船員が職務上負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、その負傷又は疾病がなおるまで、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。
2  船員が雇入契約存続中職務外で負傷し、又は疾病にかかつたときは、船舶所有者は、三箇月の範囲内において、その費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担しなければならない。但し、その負傷又は疾病につき船員に故意又は重大な過失のあつたときは、この限りでない。

 

(4) 海上労働証書の有効期間は5年であり、当該証書の交付を受けた船舶において船舶所有者の変更があったときは、その変更があった日に当該証書の有効期間は満了したものとみなす。その有効期間が6月である臨時海上労働証書についても同様である。

答え : ○

→ 根拠法令は、法100条の3第1項ないし3項及び100条の6第4項・5項。

(100条の3)国土交通大臣は、国土交通大臣又は登録検査機関が前条第一項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件の全てに適合すると認めたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書を交付しなければならない。国土交通大臣又は登録検査機関が同項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件のいずれかに適合していないと認めた場合において、国土交通大臣が当該要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めたときも、同様とする。
2  前項の海上労働証書(以下「海上労働証書」という。)の有効期間は、五年とする
3  前項の規定にかかわらず、海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者の変更があつたときは、当該船舶に交付された海上労働証書の有効期間は、その変更があつた日に満了したものとみなす。

 

4  前項の臨時海上労働証書(以下「臨時海上労働証書」という。)の有効期間は、六月とする。ただし、その有効期間は、当該船舶の船舶所有者が当該船舶について海上労働証書の交付を受けたときは、満了したものとみなす。

5  第百条の三第三項の規定は、臨時海上労働証書について準用する。

 

 

(5) 登録検査機関は、毎事業年度経過後3月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(以下、「財務諸表等」という。)を作成し、国土交通大臣に提出するとともに、5年間事務所に備えて置かなければならないが、船舶所有者は、登録検査機関の業務時間内は、いつでも、無料で、当該財務諸表等の閲覧又は謄写の請求ができる。

答え : ○

→ 根拠法令は、法100条の19第1項・2項。閲覧・謄写には費用がかかりません。

(100条の19)  登録検査機関は、毎事業年度経過後三月以内に、当該事業年度の財産目録、貸借対照表及び損益計算書又は収支計算書並びに事業報告書(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)の作成がされている場合における当該電磁的記録を含む。次項、第百条の二十六第二項第四号及び第百三十三条の二において財務諸表等という。を作成し、国土交通大臣に提出するとともに、五年間事務所に備えて置かなければならない。
2  船舶所有者その他の利害関係人は、登録検査機関の業務時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第二号又は第四号の請求をするには、登録検査機関の定めた費用を支払わなければならない。
一  財務諸表等が書面をもつて作成されているときは、当該書面の閲覧又は謄写の請求
二  前号の書面の謄本又は抄本の請求
三  財務諸表等が電磁的記録をもつて作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を国土交通省令で定める方法により表示したものの閲覧又は謄写の請求
四  前号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であつて国土交通省令で定めるものにより提供することの請求又は当該事項を記載した書面の交付の請求

 

3.船員法施行規則第42条の9において、船長が労働時間の制限を超えて海員を作業に従事させることが出来る特別の必要がある場合の時間外労働について規定されているが、同条第1号において、4時間を限度として海員に時間外労働を行わせることが出来る特別の必要がある場合とは、どのような場合において航海当直の員数を増加するときか。「船舶が~するとき」という形で同号に使用されている語句を用いて2つ答えよ。(2点)

答え : ①船舶が港を出入りするとき ②船舶が狭い水路を通過するとき

→ 根拠法令は、施行規則42条の9

(施行規則42条の9) 法第六十四条第二項 の国土交通省令で定める特別の必要がある場合は、次のとおりとし、同項 の国土交通省令で定める時間は、一日についてそれぞれ当該各号に定める時間とする。
一  船舶が港を出入りするとき船舶が狭い水路を通過するときその他の場合において航海当直の員数を増加するとき。 四時間

 

4.船長は、船員法第18条に基づき、船内に書類を備え置かなければならないが、当該書類について、同条に規定されている「船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書」及び「海上運送法(昭和24年法律第187号)第26条第3項に規定する証明書」以外のもののうちから、同条に使用されている語句を用いて3つ挙げよ。なお、4つ以上回答した場合については全て誤りとする。(3点)

答え : 海員名簿・航海日誌・旅客名簿・積荷に関する書類のうち3つ。

→ 根拠法令は、船員法18条1項

(18条) 船長は、国土交通省令の定める場合を除いて、次の書類を船内に備え置かなければならない。
一  船舶国籍証書又は国土交通省令の定める証書
二  海員名簿
三  航海日誌
四  旅客名簿
五  積荷に関する書類
六  海上運送法 (昭和二十四年法律第百八十七号)第二十六条第三項 に規定する証明書

                                 以上

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