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平成27年 海事代理士試験 船舶安全法

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平成27年 海事代理士試験 船舶安全法の解説

 

1. 次の文章中の□に入る適切な語句又は数字を下欄の語群の中から選び、その番号を回答欄に記入せよ。なお、同じ番号を複数回使用することができる

(1)日本船舶ハ本法二依リ其ノ[堪航性]ヲ保持シ且人命ノ安全ヲ保持スルニ必要ナル施設ヲ為スニ非ザレバ之ヲ航行ノ用ニ供スルコトヲ得ズ

→ 根拠法令は、船舶安全法第1条。平成28年でも出てきていた条文です。

 ちなみに、問題文の「同じ番号を複数回使用することができる」は、「同じ番号が複数回でますよ」というヒントになっています。

 

(2)[国土交通大臣]の登録を受けた船級協会の検査を受け、船級登録がなされた[旅客船]以外の船舶は、船級を有する間、管海官庁の特別検査以外の検査を受け、これに合格したものとみなされる。

→ 根拠法令は、船舶安全法第8条。

 第二十五条の六十九及第二十五条の七十ニ於テ準用スル第二十五条の四十七ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ登録ヲ受ケタル船級協会(以下単ニ船級協会ト称ス)ノ検査ヲ受ケ船級ノ登録ヲ為シタル船舶ニシテ旅客船(十二人ヲ超ユル旅客定員ヲ有スル船舶ヲ謂フ以下同ジ)ニ非ザルモノハ其ノ船級ヲ有スル間第二条第一項各号ニ掲グル事項、満載喫水線及無線電信等ニ関シ特別検査以外ノ管海官庁ノ検査(国土交通省令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ヲ受ケ之ニ合格シタルモノト看做ス

 

(3)船舶安全法第6条による製造検査を受検しなければならない者は、[製造者]であり、製造検査の対象となる船舶は、[30]メートル以上の船舶である。

→根拠法令は、船舶安全法第6条1項。平成28年でも出てきていた条文です。

  本法施行地ニ於テ製造スル長サ三十メートル以上ノ船舶ノ製造者ハ第二条第一項ノ規定ノ適用アル船舶ニ付同条第一項第一号、第二号及第四号ニ掲グル事項、第三条ノ船舶ニ付満載吃水線ニ関シ船舶ノ製造ニ著手シタル時ヨリ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ検査(製造検査)ヲ受クベシ但シ国土交通大臣ニ於テ已ムコトヲ得ズ又ハ必要ナシト認ムルトキハ此ノ限ニ在ラズ

(4)管海官庁が行う検査又は検定の受験者は、検査又は検定に不服があるとき、不服の通知を受けた日の翌日より起算して[30]日以内にその理由を記載した文書を添えて[国土交通大臣]に再検査又は再検定の申請をすることができ、再検査又は再検定に不服があるとき、その取り消しの訴えを提起することができる。

→ 根拠法令は、船舶安全法第11条1項・2項。ちなみに、本問に解答するのには関係ないが、理由を記載した書面が必要なのは、船舶安全法施行規則第11条があるから。

 管海官庁ノ検査又ハ検定ヲ受ケタル者検査又ハ検定ニ対シ不服アルトキハ検査又ハ検定ノ結果ニ関スル通知ヲ受ケタル日ノ翌日ヨリ起算シ三十日内ニ其ノ事由ヲ具シ国土交通大臣ニ再検査又ハ再検定ヲ申請スルコトヲ得

○2  前項ノ検査若ハ検定又ハ再検査若ハ再検定ニ対シ不服アルトキハ其ノ消ノ訴ヲ提起スルコトヲ得

 

2. 次の文章中の□に入る適切な語句を回答欄に記入せよ。

(1)[小型兼用船]とは、漁船以外の小型船舶のうち漁ろうにも従事するものであって、漁ろうと漁ろう以外のことを同時にしないものをいう。

→ 根拠法令は船舶安全法施行規則第1条5項。ちょこちょこ施行規則からも出題されますね。問題文に「小型船舶」と書いてあるので小型、「漁ろうにも従事」と書いてあるので兼用船と特定できます。

5  この省令において「小型兼用船」とは、漁船以外の小型船舶のうち漁ろうにも従事するものであつて、漁ろうと漁ろう以外のことを同時にしないものをいう。

 

(2)検査を執行する管海官庁について、本邦外にある船舶及び予備検査の対象物件の検査の場合は[関東運輸局長]のことを、原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第45条に規定する船舶の検査の場合は[国土交通大臣]のことを「管海官庁」という。

→ 根拠法令は、またもや船舶安全法施行規則の第1条14項。ちょっと長いですが、この問題に解答する上読むべきところはそれほど多くありません。

14  この省令において「管海官庁」とは、原子力船及び危険物船舶運送及び貯蔵規則第四十五条 に規定する船舶(以下「原子力船等」という。)については国土交通大臣を、本邦にある船舶(原子力船等を除く。)並びに船舶安全法 (以下「法」という。)第六条第三項 の物件及び第六十五条の六第一項 の物件についてはその所在地を管轄する地方運輸局長(運輸監理部長を含む。以下同じ。)(その所在地を管轄する運輸支局(地方運輸局組織規則 (平成十四年国土交通省令第七十三号)別表第二第一号に掲げる運輸支局(福岡運輸支局を除く。)を除く。)、同令 別表第五第二号に掲げる海事事務所又は内閣府設置法 (平成十一年法律第八十九号)第四十七条第一項 の規定により沖縄総合事務局に置かれる事務所で地方運輸局において所掌することとされている事務のうち国土交通省組織令 (平成十二年政令第二百五十五号)第二百十二条第二項 に規定する事務を分掌するものがある場合は、その運輸支局の長、その海事事務所の長又はその沖縄総合事務局に置かれる事務所の長。第十五条において同じ。)を、本邦外にある船舶(原子力船等を除く。)及び法第六条第三項 の物件については関東運輸局長をいう。

 

(3)管海官庁は、船舶安全法又は船舶安全法に基づく命令に違反した事実を認めた場合、[航行停止]その他の処分をすることができる。

→ 根拠法令は、船舶安全法12条3項。条文そのまんまですね。

管海官庁ハ本法又ハ本法ニ基ク命令ニ違反シタル事実アリト認ムルトキハ船舶ノ航行停止其ノ他ノ処分ヲ為スコトヲ得

 

(4)専ら本邦の海岸から[12海里]以内の水面又は内水面において従事し、かつ総トン数20トン未満の[漁船]は船舶安全法第32条(施設強制の規定の不適用)が適用され、船舶検査を受験する必要がない。

→ 根拠法令は、船舶安全法附則第32条と、船舶安全法第三十二条の漁船の範囲を定める政令。平成28年には、記述式でも出題されていました。重要なところですね。

(船舶安全法)第三十二条  第二条第一項ノ規定ハ政令ヲ以テ定ムル総噸数二十噸未満ノ漁船ニハ当分ノ内之ヲ適用セズ

(政令)内閣は、船舶安全法 (昭和八年法律第十一号)第三十二条 の規定に基づき、この政令を制定する。

 船舶安全法第三十二条 の政令で定める総トン数二十トン未満の漁船は、専ら本邦の海岸から十二海里以内の海面又は内水面において従業する漁船とする。

 

(5)船舶所有者は船舶検査証書の有効期間が満了したときには、すみやかに船舶検査証を[返納]しなければならない。

→ 根拠法令は、船舶安全法施行規則41条1項3号。施行規則からの出題3問目。

  船舶所有者は、次に掲げる場合は、すみやかに、船舶検査証書(第四号の場合にあつては、発見した船舶検査証書)を管海官庁に返納しなければならない。

三  船舶検査証書の有効期間が満了したとき。

 

3.次の問いに答えよ。

(1)船舶安全法において、臨時航行検査とはどのような検査とされているか説明せよ。

 船舶検査証書の交付を受けていない船舶を/臨時に航行させるときに受ける検査

→ 根拠法令は、船舶安全法第5条1項4号。これも、平成28年で出題されていた条文です。

 船舶所有者ハ第二条第一項ノ規定ノ適用アル船舶ニ付同項各号ニ掲グル事項、第三条ノ船舶ニ付満載吃水線、前条第一項ノ規定ノ適用アル船舶ニ付無線電信等ニ関シ国土交通省令ノ定ムル所ニ依リ左ノ区別ニ依ル検査ヲ受クベシ

四  船舶検査証書ヲ受有セザル船舶ヲ臨時ニ航行ノ用ニ供スルトキ行フ検査(臨時航行検査)

 

(2)船舶安全法に基づく旅客船とは、どのような船舶か説明せよ。

 12人を超える旅客定員を有する船舶

→ 根拠法令は、船舶安全法第8条。ちょっと見つけにくいところにありますが、これが定義規定です。どこまで書けると1点かはよくわかりません。

  第二十五条の六十九及第二十五条の七十ニ於テ準用スル第二十五条の四十七ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ登録ヲ受ケタル船級協会(以下単ニ船級協会ト称ス)ノ検査ヲ受ケ船級ノ登録ヲ為シタル船舶ニシテ旅客船(十二人ヲ超ユル旅客定員ヲ有スル船舶ヲ謂フ以下同ジ)ニ非ザルモノハ其ノ船級ヲ有スル間第二条第一項各号ニ掲グル事項、満載喫水線及無線電信等ニ関シ特別検査以外ノ管海官庁ノ検査(国土交通省令ヲ以テ定ムルモノヲ除ク)ヲ受ケ之ニ合格シタルモノト看做ス

(3)船舶安全法に基づく航行区域を全て答えよ。

 平水区域・沿海区域・近海区域・遠洋区域

→ 根拠法令は船舶安全法9条1項及び船舶安全法施行規則第5条。ここでも規則からの出題です。

 管海官庁ハ定期検査ニ合格シタル船舶ニ対シテハ其ノ航行区域(漁船ニ付テハ従業制限)、最大搭載人員、制限汽圧及満載吃水線ノ位置ヲ定メ船舶検査証書及船舶検査済票(小型船舶ニ限ル)ヲ交付スベシ

 法第九条第一項 の規定により定める航行区域は、平水区域、沿海区域、近海区域又は遠洋区域の四種とする。

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