平成26年 海事代理士試験 船舶法(H30.7.24更新)
平成26年海事代理士試験 船舶法の解説
1.次の文章中、 に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。
(1) 船舶国籍証書が毀損したときは、船舶所有者はその事実を知った日から2週間以内にその[書換]を申請する必要がある。
→ 根拠法令は、船舶法11条。
第十一条 船舶国籍証書ニ記載シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ其書換ヲ申請スルコトヲ要ス船舶国籍証書カ毀損シタルトキ亦同シ
(2) 船舶所有者が船舶を修繕した場合において、その総トン数に変更を生じたものと認めるときは、遅滞なく船籍港を管轄する管海官庁にその船舶の総トン数の[改測]を申請する必要がある。
→ 根拠法令は、船舶法9条1項。
第九条 船舶所有者カ其船舶ヲ修繕シタル場合ニ於テ其総トン数ニ変更ヲ生シタルモノト認ムルトキハ遅滞ナク船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ其船舶ノ総トン数ノ改測ヲ申請スルコトヲ要ス
(3) 日本国籍を取得する目的をもって国内で製造する船舶については、竣工前といえども最寄りの管海官庁に総トン数の[部分測度]を申請することができる。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則16条1項。
第十六条 国籍ヲ取得スル目的ヲ以テ内国ニ於テ製造スル船舶ニ付テハ其竣工前ト雖モ最寄管海官庁ニ総トン数ノ部分測度ヲ申請スルコトヲ得
(4) 船籍港を管轄する管海官庁は、他の管海官庁に船舶の総トン数の測度を [嘱託]することができる。
→ 根拠法令は、船舶法4条2項。
船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ他ノ管海官庁ニ船舶ノ総トン数ノ測度ヲ嘱託スルコトヲ得
(5) 日本船舶の所有者が国土交通大臣の定める期日又は延期された期日までに[船舶国籍証書]を提出しないときは、[船舶国籍証書]はその効力を失う。この場合において、船籍港を管轄する管海官庁は、船舶原簿について職権をもって[抹消]の登録を行う必要がある。
→ 根拠法令は、船舶法5条の2第4項。
4 日本船舶ノ所有者ガ第一項ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ定ムル期日又ハ前項ノ規定ニ依リ延期セラレタル期日マデニ船舶国籍証書ヲ提出セザルトキハ船舶国籍証書ハ其効力ヲ失フ此場合ニ於テ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ船舶原簿ニ付職権ヲ以テ抹消ノ登録ヲ為スコトヲ要ス
(6) 船籍港は、原則として船舶所有者の[住所]にこれを定める。ただし、[住所]が日本にない場合又は船舶の航行できる[水面]に接していない場合、その他やむを得ない事由がある場合はこの限りでない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則3条。
第三条 船籍港ハ市町村ノ名称ニ依ル但都ノ市町村ノ存セサル区域ニ在リテハ都ノ名称トス
2 船籍港ト為スヘキ市町村ハ船舶ノ航行シ得ヘキ水面ニ接シタルモノニ限ル
3 船籍港ハ当該船舶所有者ノ住所ニ之ヲ定ムヘシ但住所カ日本ニナキ場合又ハ前項ノ規定ニ該当セサル場合其他已ムコトヲ得サル事由アル場合ハ此限ニ在ラス
(7) 船舶法第五条第一項の規定により船舶の登録を行う場合は、申請書に所有者の氏名又は名称、住所及び共有であるときは各共有者の[持分]を記載した登記事項証明書を添付して管海官庁に提出する必要がある。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則17条。
第十七条 船舶法第五条第一項 ノ規定ニ依リ船舶ノ登録ヲ為スニハ申請書ニ所有者ノ氏名又ハ名称、住所及共有ナルトキハ各共有者ノ持分ヲ記載シタル登記事項証明書ヲ添ヘ之ヲ管海官庁ニ差出スヘシ
(8) 初めて船舶の登録を申請するときは、電子申請の場合を除き、[20100]円の手数料を納付しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則48条1項1号。
第四十八条 船舶ノ登録ヲ申請スル者ハ左ノ各号ニ相当スル手数料ヲ納付スベシ
一 初メテ登録ヲ申請スルトキ 二万百円(行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (平成十四年法律第百五十一号)第三条第一項 ノ規定ニ依リ同項 ニ規定スル電子情報処理組織ヲ使用シテ(以下「電子情報処理組織ニ依リ」ト謂フ)登録ヲ申請スル場合ニ於テハ一万九千九百円)
2.次の文章のうち、正しいものには○を、正しくないものには×を解答欄に記入せよ。
(1) 業務執行役員の3分の2以上が日本国民である一般社団法人の所有に属する船舶は日本船舶とする。
答え : ☓
→ 根拠法令は、船舶法1条3号。この要件に加えて、代表者の全員が日本国民でなければなりません。
第一条 左ノ船舶ヲ以テ日本船舶トス
一 日本ノ官庁又ハ公署ノ所有ニ属スル船舶
二 日本国民ノ所有ニ属スル船舶
三 日本ノ法令ニ依リ設立シタル会社ニシテ其代表者ノ全員及ビ業務ヲ執行スル役員ノ三分ノ二以上ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
四 前号ニ掲ゲタル法人以外ノ法人ニシテ日本ノ法令ニ依リ設立シ其代表者ノ全員ガ日本国民ナルモノノ所有ニ属スル船舶
(2) 船舶法第四条の規定により船舶の総トン数の測度申請があった場合、管海官庁は必要と認める場合は、申請書の他に造船地、造船者、進水の年月及び船舶の原名を証する書面の提出を求めることができる。この書面は、船舶の総トン数の測度が行われた後は、申請者に還付する必要がある。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法施行細則8条2項及び12条の2第4項。
(8条) 船舶法第四条 ノ規定ニ依リ船舶ノ総トン数ノ測度ヲ申請セントスル者ハ第一号 書式ノ申請書ヲ管海官庁ニ差出スヘシ
2 管海官庁ニ於テ必要アリト認ムルトキハ前項ノ申請書ノ外造船地、造船者、進水ノ年月及船舶ノ原名ヲ証スル書面ヲ差出サシムルコトヲ得
(12条の2第4項) 管海官庁ハ前三項ニ規定スル場合ニ於テ第八条第二項又ハ第八条ノ二第二項ノ規定ニ依リ申請者ガ差出シタル書面アルトキハ之ヲ還付スベシ
(3) 船舶の船籍港を変更する場合には、船籍港を管轄する管海官庁以外の管海官庁にも変更の登録を申請することができる。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法施行細則20条1項・2項。登録申請先については、限定がありません。
第二十条 船舶ノ船籍港ヲ変更スル場合ニハ管海官庁ニ変更ノ登録ヲ申請スベシ
2 前項ノ場合ニ於テ申請ヲ受ケタル管海官庁ガ変更前ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁又ハ変更後ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ非ザルトキハ当該申請ヲ受ケタル管海官庁ハ変更ノ登録ヲ為シ当該申請ヲ受ケタル管海官庁及変更前ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ其船舶ニ関スル附属書類ヲ変更後ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ移送シ申請ヲ受ケタル管海官庁ガ変更前ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁又ハ変更後ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ノトキハ当該申請ヲ受ケタル管海官庁ハ変更ノ登録ヲ為シ変更前ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ其船舶ニ関スル附属書類ヲ変更後ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ニ移送スベシ
(解説)2項による処理
1 (前段)申請を受けた管海官庁が、変更前の船籍港を管轄する管海官庁または変更後の船籍港を管轄する管海官庁でないとき
→ 申請を受けた管海官庁は、変更の登録をして、申請を受けた管海官庁と、変更前の船籍港を管轄する管海官庁は、その船舶に関する附属書類を変更後の船籍港を管轄する管海官庁に移送する。
2 (後段)申請を受けた管海官庁が、変更前の船籍港を管轄する管海官庁または変更後の船籍港を管轄する管海官庁であるとき
→ 申請を受けた管海官庁は、変更の登録をして、変更前の船籍港を管轄する管海官庁は、その船舶に関する附属書類を変更後の船籍港を管轄する管海官庁に移送する。
まとめ とにかく、申請を受けた管海官庁は、変更の登録をする。船舶に関する附属書類は、全部変更後の船籍港を管轄する管海官庁のところに送る。
(4) 登録事項証明書の交付を申請するときは、電子申請の場合を除き、手数料の金額に相当する収入印紙を手数料納付書に貼付して納付する。
答え : ☓
→ 根拠法令は、船舶法施行細則51条1項2号及び同条2項本文。申請書に貼用です。
第五十一条 左ノ場合ニ於テハ各号ニ相当スル手数料ヲ納付スヘシ
二 登録事項証明書ノ交付ヲ申請スルトキ 一通ニ付 九百円(電子情報処理組織ニ依リ交付ヲ申請スル場合ニ於テハ七百円)三 総トン数計算書又ハ船舶原簿ノ閲覧ヲ請求スルトキ 一船舶一回ニ付 四百五十円
2 前項ノ手数料ハ其金額ニ相当スル収入印紙ヲ第一号乃至第三号ノ場合ニ於テハ申請書ニ、第四号及第五号ノ場合ニ於テハ手数料納付書ニ貼用シテ之ヲ納付スヘシ但電子情報処理組織ニ依リ前項各号ノ申請又ハ請求ヲ為ス場合ニ於テ当該申請又ハ請求ヲ為シタルコトニ因リテ得ラレタル納付情報ニ依リ納付スルトキハ現金ヲ以テ之ヲ為スコトヲ得
(5) 船舶法第七条の規定に従って日本の国旗を掲げないときは、船長を 30 万円以下の罰金に処す。
答え : ☓
→ 根拠法令は、船舶法26条。30万円ではなく、50万円以下です。
第七条ノ規定ニ従ヒテ日本ノ国旗ヲ掲ケサルトキハ船長ヲ五十万円以下ノ罰金ニ処ス
(6) 仮船舶国籍証書の有効期間は、その船舶の船籍港に回航しようとする場合は、到達すべき期間を標準として、船舶法第十七条に定める期間内で管海官庁が定める。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法施行細則38条。
仮船舶国籍証書ノ有効期間ハ其船舶ノ船籍港ニ回航セントスル場合ニ於テハ到達スヘキ期間ヲ標準トシ其他ノ場合ニ於テハ船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得ル期間ヲ標準トシ船舶法第十七条 ニ定ムル期間内ニ於テ当該管海官庁之ヲ定ム
(7) 仮船舶国籍証書は、その効力を失ったとき又は船舶国籍証書の交付を受けたときは、遅滞なく最寄りの管海官庁に返還しなければならない。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法施行細則40条。
仮船舶国籍証書ハ其効力ヲ失ヒタルトキ又ハ船舶国籍証書ヲ請受ケタルトキハ遅滞ナク之ヲ最寄管海官庁ニ返還スヘシ
(8) 船舶所有者が船舶件名書に記載した事項に錯誤又は遺漏があることを発見したときは、その旨を疎明して訂正を申請すること。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法施行細則47条の2第1項。
第四十七条ノ二 船舶所有者ニ於テ左ノ事項ニ錯誤又ハ遺漏アルコトヲ発見シタルトキハ其旨ヲ疏明シ訂正ヲ申請スヘシ
一 船舶件名書ニ記載シタル事項
(9) 外国において測度手数料を納付する場合、当該領事館所在国の通貨の最低単位に満たない端数があるときは、当該端数を四捨五入して納付する。
答え : ☓
→ 根拠法令は、船舶法施行細則50条の2第2項。四捨五入ではなく、切り捨てです。
2 外国ニ於テ測度又ハ改測ヲ受ケタル場合ニ於ケル前条ノ測度手数料ハ外国貨幣換算率(予算決算及び会計令 (昭和二十二年勅令第百六十五号)第百十四条 ノ規定ニ基キ財務大臣ガ定ムル外国貨幣換算率ヲ謂フ以下同ジ)ニ依リ換算シタル邦貨額ガ当該手数料ノ額ニ相当スル額ノ当該領事館所在国ノ通貨ヲ測度手数料納付書ニ添ヘテ納付スベシ此場合ニ於テ当該領事館所在国ノ通貨ノ最低単位ニ満タザル端数アルトキハ当該端数ヲ切捨テテ当該手数料ヲ納付スルモノトス
(10) 日本船舶の存否が3ヶ月間不明となったときは、船舶所有者はその事実を知った日から2週間以内に抹消の登録を申請しなければならない。
答え : ○
→ 根拠法令は、船舶法14条1項。
日本船舶カ滅失若クハ沈没シタルトキ、解撤セラレタルトキ又ハ日本ノ国籍ヲ喪失シ若クハ第二十条ニ掲クル船舶トナリタルトキハ船舶所有者ハ其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ニ抹消ノ登録ヲ為シ且遅滞ナク船舶国籍証書ヲ返還スルコトヲ要ス船舶ノ存否カ三个月間分明ナラサルトキ亦同シ
以上