平成28年 海事代理士試験 船舶法
平成28年 海事代理士試験 船舶法の解説
1.次の文章中の に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。
(1) 日本船舶は法令の定めるところに従い、日本の国旗を掲げ、かつ、その名称、船籍港、番号、[総トン数]、喫水の尺度その他の事項を標示する必要がある。
→ 根拠法令は、船舶法7条。
(参考条文)
第七条 日本船舶ハ法令ノ定ムル所ニ従ヒ日本ノ国旗ヲ掲ケ且其名称、船籍港、番号、総トン数、喫水ノ尺度其他ノ事項ヲ標示スルコトヲ要ス
(2) 管海官庁の事務は、外国にあっては日本の[領事]がこれを行う。
→ 根拠法令は、船舶法32条1項。ちなみに,領事とは,ざっくりいうと,その国で,日本と日本人の利益を守り,通商をサポートするなどの仕事を行っている国家機関のことです。
(参考条文)
第三十二条 管海官庁ノ事務ハ外国ニ在リテハ日本ノ領事之ヲ行フ
(3) 主として帆をもって運航する装置を有する船舶は、[機関]を有するものであっても、これを帆船とみなす。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則1条3項。施行規則ではなく、施行「細則」です。ちなみに,帆船の対義語は汽船で,蒸気機関がついておらず,内燃機関で動いていても,機械力で運行する装置がついている船舶は汽船に分類されます。なお,両者の違いは,海難救助料の分配のところでしかでてきません(805条1項)。
(参考条文) 主トシテ帆ヲ以テ運航スル装置ヲ有スル船舶ハ機関ヲ有スルモノト雖モ之ヲ帆船ト看做ス
(4) 管海官庁において総トン数の測度又は改測の申請を受けたときは、[船舶測度官]に船舶を臨検させ、船舶のトン数の測度に関する法律の規定により船舶の総トン数の測度又は改測を行わせ、かつ、[船舶件名書]及び[総トン数計算書]を作成させなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則12条柱書。測度・改測を受けるときには,この臨検が行われるので,きちんと準備をしておかなければなりません。
(参考条文)
第十二条 管海官庁ニ於テ総トン数ノ測度又ハ改測ノ申請ヲ受ケタルトキハ船舶測度官ヲシテ船舶ニ臨検シ船舶のトン数の測度に関する法律ノ規定ニ依リ船舶ノ総トン数ノ測度又ハ改測ヲ行ハセ且第二号 書式ノ船舶件名書及次ノ事項ヲ記載シタル総トン数計算書ヲ作成セシムヘシ
(5) 船舶法第五条ノ二第一項の規定により日本船舶の所有者が船舶国籍証書の[検認]を受けることを要する期日は、管海官庁において船舶法施行細則第三十条の規定により船舶国籍証書を交付するとき、又は船舶国籍証書の[検認]を行うときに、各船舶ごとにこれを指定する。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則30条の2。
第三十条ノ二 船舶法第五条ノ二第一項 ノ規定ニ依リ日本船舶ノ所有者ガ船舶国籍証書ノ検認ヲ受クルコトヲ要スル期日ハ管海官庁ニ於テ第三十条 ノ規定ニ依リ船舶国籍証書ヲ交付スルトキ又ハ船舶国籍証書ノ検認ヲ為ストキ各船舶毎ニ之ヲ指定ス
(6) 船舶法第十五条又は第十六条の規定により仮船舶国籍証書の交付を受けようとする者は、申請書に[所有権]の取得を証する書面を添えて管海官庁に提出しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則37条。船舶所有者でなければ仮船舶国籍証書の交付を受けることができませんので,所有者であることを証する書面を添えて提出しなければなりません。
第三十七条 船舶法第十五条 又ハ第十六条 ノ規定ニ依リ仮船舶国籍証書ヲ請受ケントスル者ハ第五号 書式ノ申請書ニ所有権ノ取得ヲ証スル書面ヲ添ヘ当該管海官庁ニ差出スヘシ
(7) 申請人の都合により[測度]の申請を取り下げ、又は船舶が[測度]を要さないものとなった場合であっても、[測度]着手後であるときは[測度]手数料を徴収する。[改測]の場合についてもまた同じである。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則50条3項。実際に測度に手間がかかっていますので,後で取下げても手数料は返ってきません。
申請人ノ都合ニ依リ測度ノ申請ヲ取下ケ又ハ船舶カ測度ヲ要セサルモノトナリタル場合ト雖測度著手後ナルトキハ測度手数料ヲ徴収ス改測ノ場合ニ付亦同シ
2.次の文章中の に入る適切な語句を以下の語群から選び、その番号を解答欄に記入せよ。
(1) 船舶法第五条第一項の規定により登録を行った船舶について、所有者の変更があったときは、新所有者は[船舶国籍証書の書換]の申請を行った後でなければ、その船舶を航行させることができない。ただし、その事実を知るに至るまでの間及びその事実を知った日より二週間以内はこの限りでない。
→ 根拠法令は、船舶法6条の2。
第六条ノ二 第五条第一項ノ規定ニ依リ登録ヲ為シタル船舶ニ付所有者ノ変更アリタルトキハ新所有者ハ船舶国籍証書ノ書換ノ申請ヲ為シタル後ニ非ザレバ其船舶ヲ航行セシムルコトヲ得ズ但其事実ヲ知ルニ至ルマデノ間及其事実ヲ知リタル日ヨリ二週間内ハ此限ニ在ラズ
(2) 日本船舶が外国の港に碇泊する間において船舶国籍証書が滅失若しくは毀損し、又はこれに記載した事項に変更を生じた時は、船長はその地において [仮船舶国籍証書]を受けることができる。
→ 根拠法令は、船舶法13条1項。
第十三条 日本船舶カ外国ノ港ニ碇泊スル間ニ於テ船舶国籍証書カ滅失若クハ毀損シ又ハ之ニ記載シタル事項ニ変更ヲ生シタルトキハ船長ハ其地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得
(3) 船籍港を管轄する管海官庁の管轄区域外に船舶が所在する場合において、船舶法施行細則第二十二条の変更の登録を行おうとするときは、船舶所在地を管轄する管海官庁に[臨検]を申請し、[臨検調査書の交付]を受けることができる。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則23条1項
第二十三条 船籍港ヲ管轄スル管海官庁ノ管轄区域外ニ船舶ノ所在スル場合ニ於テ前条ノ登録ヲ為サントスルトキハ船舶所在地ヲ管轄スル管海官庁ニ臨検ヲ申請シ臨検調査書ノ交付ヲ受クルコトヲ得
(4) 船舶法第五条ノ二第四項の規定により職権をもって[抹消の登録]を行ったときは、当該管海官庁は遅滞なくその旨並びに当該船舶の種類、名称、船籍港及び総トン数、船舶所有者の住所及び氏名又は名称並びに[抹消の登録]を行った年月日を船籍港を管轄する登記所に[通知]しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則27条の2
第二十七条ノ二 船舶法第五条ノ二第四項 ノ規定ニ依リ職権ヲ以テ抹消ノ登録ヲ為シタルトキハ当該管海官庁ハ遅滞ナク其旨及左ノ事項ヲ船籍港ヲ管轄スル登記所ニ通知スヘシ
一 船舶ノ種類、名称、船籍港及総トン数
二 船舶所有者ノ住所及氏名又ハ名称
三 抹消ノ登録ヲ為シタル年月日
(5) 船舶国籍証書又は仮船舶国籍証書を[返還]すべき場合において、これを[返還]することができないときは、その事由を疏明しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則41条1項。
第四十一条 本章ノ規定ニ依リ船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書ヲ返還スヘキ場合ニ於テ之ヲ返還スルコト能ハサルトキハ其事由ヲ疏明スヘシ
(6) 船舶が外国にある場合その他やむを得ない事由により船舶法第五条ノ二第一項の規定により国土交通大臣が定める期日までに船舶国籍証書を提出することができない場合において、その期日までにその船舶の所有者より理由を付して申請があったときは、[船籍港]を管轄する管海官庁は、提出期日の延期を認めることができる。
→ 根拠法令は、船舶法5条の2第3項。
船舶ガ外国ニ在ル場合其他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ第一項ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書ヲ提出スルコトヲ得ザル場合ニ於テ其期日マデニ其船舶ノ所有者ヨリ理由ヲ具シテ申請アリタルトキハ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ提出期日ノ延期ヲ認ムルコトヲ得延期セラレタル期日マデニ提出スルコトヲ得ザル場合亦同ジ
(7) 管海官庁は、船舶原簿(共同人名簿を含む。)については、抹消登録を行った年の翌年から[50年]これを保存しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則別表一
別表一 (第七条ノの三関係)
船舶原簿(共同人名簿を含む。) 抹消登録を行った年の翌年から50年
(8) 管海官庁における総トン数の測度又は改測の結果、当該船舶の総トン数が二十トン未満であると判明した場合であっても、[総トン数計算書の謄本]を求める申請者に対しては、これを交付しなければならない。
→ 根拠法令は、船舶法施行細則12条の2第3項。
管海官庁ニ於ケル総トン数ノ測度又ハ改測ノ結果当該船舶ノ総トン数ガ二十トン未満デアルト判明シタル場合ト雖モ総トン数計算書ノ謄本ヲ請受クル申請者ニ対シテハ之ヲ交付スベシ