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平成27年 海事代理士試験 船舶法

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平成27年 海事代理士試験 船舶法の解説

 

1.次の文章中の に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。

(1) 日本において船舶を取得した者がその取得地を管轄する管海官庁の管轄区域内に[船籍港]を定めないときは、その管海官庁の所在地において[仮船舶国籍証書]の交付を受けることができる。

→ 根拠法令は、船舶法15条

第十五条  日本ニ於テ船舶ヲ取得シタル者カ其取得地ヲ管轄スル管海官庁ノ管轄区域内ニ船籍港ヲ定メサルトキハ其管海官庁ノ所在地ニ於テ仮船舶国籍証書ヲ請受クルコトヲ得

 

(2) 管海官庁は船舶の総トン数、[登録]又は標示に関して必要ありと認めたときは、いつでも当該官吏により船舶に臨検させることができる。

→ 根拠法令は、船舶法21条の2

第二十一条ノ二  管海官庁ハ船舶ノ総トン数、登録又ハ標示ニ関シ必要アリト認ムルトキハ何時ニテモ当該官吏ヲシテ船舶ニ臨検セシムルコトヲ得此ノ場合ニ於テハ当該官吏ハ其ノ身分ヲ証明スヘキ証票ヲ携帯スヘシ

 

(3) 船舶法施行細則の規定により管海官庁に書類を提出すべき場合において代理人を使用するときは、その[権限]を証する書面を提出しなければならない。ただし、船舶が官庁の所有に属する場合において、[告示]で指定された官庁又は公署の職員についてはこの限りでない。

→ 根拠法令は、船舶法施行細則7条。

第七条  本則ノ規定ニ依リ管海官庁ニ書類ヲ差出スヘキ場合ニ於テ代理人ヲ使用スルトキハ其権限ヲ証スル書面ヲ添附スヘシ但船舶カ官庁ノ所有ニ属スル場合ニ於テ告示ヲ以テ指定セラレタル官庁又ハ公署ノ職員ニ付テハ此限ニ在ラス

 

(4) 船舶法第十四条第一項の規定による抹消の登録を行った場合、当該抹消の登録を行った管海官庁は、その船舶原簿を[閉鎖]する。

→ 根拠法令は、船舶法施行細則27条2項。

第二十七条  船舶法第十四条第一項 ノ規定ニ依リ抹消ノ登録ヲ為サントスル者ハ申請書ニ其事由ヲ記載シ其事実ヲ証スル書面ヲ添ヘ管海官庁ニ之ヲ差出スヘシ
 2  前項ノ抹消ノ登録ヲ為シタル場合ニ於テ当該抹消ノ登録ヲ為シタル管海官庁ハ其船舶原簿ヲ閉鎖

 

(5) 外国において交付する仮船舶国籍証書の有効期間は、[1年]を超えることができない。

→ 根拠法令は、船舶法17条1項。

第十七条  外国ニ於テ交付スル仮船舶国籍証書ノ有効期間ハ一年ヲ超ユルコトヲ得ス

 

 

(6) 船舶法施行細則第十六条ノ二の規定により総トン数計算書の謄本又は抄本の交付を受けようとするときは、電子申請の場合を除き、一通につき[2100]円の手数料を納付しなければならない。

→ 根拠法令は、船舶法施行細則51条1項1号。

第五十一条  左ノ場合ニ於テハ各号ニ相当スル手数料ヲ納付スヘシ

一  総トン数計算書ノ謄本又ハ抄本ノ交付ヲ受ケントスルトキ(第十六条ノ二ノ場合ニ限ル) 一通ニ付 二千百円(電子情報処理組織ニ依リ交付ヲ申請スル場合ニ於テハ千九百円)

 

(7) 管海官庁が船舶法施行細則の規定による申請を受けた場合において、当該申請が法令で定めた申請の形式上の要件に適合しないときは、速やかに補正を求め、又は[理由]を提示してその申請を[却下]しなければならない。

→ 根拠法令は、船舶法施行細則7条の2第2項

2  前項ノ場合ニ於テ当該申請カ法令ニ定メタル申請ノ形式上ノ要件ニ適合セサルトキハ速ヤカニ補正ヲ求メ又ハ理由ヲ提示シ其申請ヲ却下スヘシ

 

2.次の文章のうち、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。

(1) 日本国民の所有する船舶は日本船舶であり、法令に別段の定めがある場合を除き、船舶国籍証書又は仮船舶国籍証書の交付を受けた後でなければ、これを航行させることができない。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法6条。

第六条  日本船舶ハ法令ニ別段ノ定アル場合ヲ除ク外船舶国籍証書又ハ仮船舶国籍証書ヲ請受ケタル後ニ非サレハ日本ノ国旗ヲ掲ケ又ハ之ヲ航行セシムルコトヲ得ス

 

(2) 総トン数百トン以上の鋼製船舶は、船舶国籍証書の交付を受けた日又は前回の検認を受けた日から四年を経過するまでに船籍港を管轄する管海官庁に船舶国籍証書を提出し、その検認を受けなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船舶法5条の2第2項。「4年を経過」というのはあっているのですが、経過した後でなければならないとされているので誤り。

第五条ノ二  日本船舶ノ所有者ハ国土交通大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書ヲ其船舶ノ船籍港ヲ管轄スル管海官庁(其船舶ノ運航上ノ都合ニ因リ已ムコトヲ得ザル事由アルトキハ最寄ノ管海官庁)ニ提出シ其検認ヲ受クルコトヲ要ス

○2 前項ノ期日船舶国籍証書ノ交付ヲ受ケタル日又ハ船舶国籍証書ニ付前回ノ検認ヲ受ケタル日ヨリ総トン数百トン以上ノ鋼製船舶ニ在リテハ四年ヲ総トン数百トン未満ノ鋼製船舶ニ在リテハ二年ヲ木製船舶ニ在リテハ一年ヲ経過シタル後タルコトヲ要ス

 

(3) 日本船舶が国籍を詐る目的をもって日本の国旗以外の旗章を掲げたときは、船舶所有者を二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処す。ただし、船舶が捕獲を避けようとする目的をもって日本の国旗以外の旗章を掲げたときは、これを適用しない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船舶法22条1項・2項。対象は、船舶所有者ではなく、船長です。船舶所有者が常に船舶の国旗を監視するわけにもいきませんしね。

 第二十二条  日本船舶ニ非ズシテ国籍ヲ詐ル目的ヲ以テ日本ノ国旗ヲ掲ゲ又ハ日本船舶ノ船舶国籍証書若クハ仮船舶国籍証書ヲ以テ航行シタルトキハ船長ヲ二年以下ノ懲役又ハ百万円以下ノ罰金ニ処ス此場合ニ於テ船長ノ所有又ハ占有ニ係ル其船舶ヲ没収スルコトヲ得

○2 前項ノ規定ハ船舶ガ捕獲ヲ避ケントスル目的ヲ以テ日本ノ国旗ヲ掲ゲタルトキハ之ヲ適用セズ

 

(4) 船舶原簿に登録する船舶の種類とは、鋼船、木船の別をいう。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船舶法施行細則1条1項。

第一条  本則ニ於テ船舶ノ種類ト称スルハ汽船、帆船ノ別ヲ謂フ

 

(5) 船舶所有者の氏名もしくは名称、住所又は共有者の持分の変更があった場合は、船舶所有者は申請書に変更に係る新旧事項が事実であることを証する登記事項証明書を添付して変更の登録を申請しなければならない。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法施行細則25条。

第二十五条  船舶所有者ノ変更アリタルトキハ新所有者ハ申請書ニ変更ニ係ル新旧事項ノ事実ナルコトヲ証スル登記事項証明書ヲ添附シテ変更ノ登録ヲ申請スヘシ
 2 前項ノ規定ハ船舶所有者ノ氏名若クハ名称、住所又ハ共有者ノ持分ノ変更アリタル場合ニ之ヲ準用



(6) 登録事項証明書は、手数料のほか、送付に要する費用を納付することにより郵送してもらうことができる。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法施行細則29条。

第二十九条  何人ト雖モ管海官庁ニ対シ手数料ヲ納付シテ船舶原簿ニ記録シタル事項ヲ証明シタル書面(以下「登録事項証明書」ト謂フ)ノ交付ヲ申請シ又船舶原簿ノ閲覧ヲ請求スルコトヲ得
 2 手数料ノ外送付ニ要スル費用ヲ納付シテ登録事項証明書ノ送付ヲ請求スルコトヲ得

 


(7) 船舶国籍証書の検認申請を受けた管海官庁は、申請者に対し、その船舶の所有者であることを証するに足る書類の提示を求めることができる。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法施行細則30条の3。

第三十条ノ三  船舶国籍証書ノ検認ヲ受ケントスル者ハ第八号書式ノ申請書ヲ船舶法第五条ノ二第一項 ノ管海官庁ニ差出スベシ
2 前項ノ規定ニ依リ申請ヲ受ケタル管海官庁ハ申請者ニ対シ其船舶ノ所有者タルコトヲ証スルニ足ル書類ノ呈示ヲ求ムルコトヲ得

 

(8) 船舶法第五条ノ二第三項の規定により管海官庁において船舶国籍証書の提出期日の延期を認める場合は、船舶が外国にあるとき、その他正当な事由により船舶国籍証書の提出が著しく困難であるときに限る。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法5条の2第3項及び船舶法施行細則30条の6
 法の「提出スルコトヲ得ザル場合」が、「提出が著しく困難であるとき」と緩和されています。

(船舶法5条の2第3項) 船舶ガ外国ニ在ル場合其他已ムコトヲ得ザル事由ニ因リ第一項ノ規定ニ依リ国土交通大臣ノ定ムル期日マデニ船舶国籍証書ヲ提出スルコトヲ得ザル場合ニ於テ其期日マデニ其船舶ノ所有者ヨリ理由ヲ具シテ申請アリタルトキハ船籍港ヲ管轄スル管海官庁ハ提出期日ノ延期ヲ認ムルコトヲ得延期セラレタル期日マデニ提出スルコトヲ得ザル場合亦同ジ

(施行細則30条の6) 船舶法第五条ノ二第三項ノ規定ニ依リ管海官庁ニ於テ船舶国籍証書ノ提出期日ノ延期ヲ認ムル場合ハ船舶ガ外国ニ在ルトキ其他正当ノ事由ニ依リ船舶国籍証書ノ提出ガ著シク困難ナルトキニ限ル

 

(9) 行政区画やその名称、又は地番号の変更があったときは、船舶国籍証書に記載された行政区画やその名称、又は地番号は、当然これを変更したものとみなす。字又はその名称の変更があった場合も同様である。

答え : ○

→ 根拠法令は、船舶法施行細則26条及び32条。船舶原簿も同様です。いちいち変更登録が必要とすると大変ですもんね。

第二十六条  行政区画、其名称又ハ地番号ノ変更アリタルトキハ船舶原簿ニ登録シタル行政区画、其名称又ハ地番号ハ当然之ヲ変更シタルモノト看做ス字又ハ其名称ノ変更アリタルトキ亦同シ

第三十二条  第二十六条ノ規定ハ船舶国籍証書ニ之ヲ準用

 

(10) 船舶国籍証書の書換を申請した場合において、その交付があったときは、二週間以内に旧証書を返還しなければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船舶法施行細則35条。2週間以内ではなく、遅滞なく返還しなければなりません。

第三十五条  船舶国籍証書ノ書換ヲ申請シタル場合ニ於テ其交付アリタルトキハ遅滞ナク旧証書ヲ返還スヘシ

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