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平成28年 海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法

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平成28年海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法の解説

 

1.法令の規定を参照した次の文章中、 に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。(15点)


(1) この法律のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には[船舶管理人]に、船舶貸借の場合には船舶借入人に適用する。

→ 根拠法令は、法3条。

(3条) この法律のうち船舶所有者に関する規定は、船舶共有の場合には船舶管理人に、船舶貸借の場合には船舶借入人に適用する。


   
(2) 海技免状の有効期間の更新を申請する者は、海技免状更新申請書に、海技士身体検査証明書(申請日以前[3月]以内に船員法施行規則に規定する [指定医師]により受けた検査の結果を記載したものをいう。)又は海技士身体検査合格証明書(申請日以前[1年]以内に海技試験の身体検査を受け、交付されたものに限る。)のいずれかその他必要な書類を添えて、国土交通大臣に提出しなければならない。

→ 根拠法令は、施行規則9条の5第1項

(施行規則9条の5) 法第七条の二第二項 の規定により海技免状の有効期間の更新を申請する者は、当該海技免状の有効期間が満了する日以前一年以内に第六号様式による海技免状更新申請書に次に掲げる書類を添えて、国土交通大臣に提出しなければならない。
一  第七号様式による海技士身体検査証明書(申請日以前三月以内に指定医師(船員法施行規則 (昭和二十二年運輸省令第二十三号)第五十五条第一項 に規定する指定医師をいう。以下同じ。)により受けた検査の結果を記載したものをいう。第九条の八第一項第一号、第八十条第一項第一号及び第八十五条第一項第一号において同じ。)又は海技士身体検査合格証明書(申請日以前一年以内に第四十条の規定による身体検査を受け、交付されたものに限る。第九条の八第一項第一号、第八十条第一項第一号及び第八十五条第一項第一号において同じ。)
二  法第七条の二第三項第一号 に掲げる者にあつては、同号 の乗船履歴を有することを証明する書類
三  法第七条の二第三項第二号 に掲げる者にあつては、同号 の認定を受けた者であることを証明する書類
四  法第七条の二第三項第三号 に掲げる者にあつては、同号 の講習の課程を修了したことを証明する書類


(3) 海技試験を申請する者は、当該試験を受ける地が本邦外にあるときは、[関東運輸局]を経由して国土交通大臣に海技試験申請書を提出しなければならない。

→ 根拠法令は、施行規則37条1項柱書。

(37条)海技試験を申請する者は、第十号様式による海技試験申請書に写真二葉及び次に掲げる書類(前条に規定する筆記試験を申請する者にあつては、第一号に掲げる書類に限る。)を添えて、海技試験を受ける地を管轄する地方運輸局当該試験を受ける地が本邦外にあるときにあつては、関東運輸局)を経由して国土交通大臣に提出しなければならない。

 


(4) 船舶所有者は、小型船舶以外の船舶には、[20]歳に満たない者を船長又は機関長の職務を行う船舶職員として乗り組ませてはならない。

→ 根拠法令は、法18条2項及び施行規則60条の8の2。

(18条2項) 船舶所有者は、国土交通省令で定める船舶には、二十歳に満たない者を船長又は機関長の職務を行う船舶職員として乗り組ませてはならない。

(施行規則60条の8の2)  法第十八条第二項 の国土交通省令で定める船舶は、小型船舶以外の船舶とする。

 


(5) 国土交通大臣は、船舶が[特殊]の構造又は装置を有していること、航海の態様が[特殊]であることその他の国土交通省令で定める事由により、乗組み基準によらなくても[航行の安全]を確保することができると認める船舶については、[船舶所有者]の申請により、乗組み基準によらないことを許可することができる。

→ 根拠法令は、法20条1項。

(法20条1項) 国土交通大臣は、船舶が特殊の構造又は装置を有していること、航海の態様が特殊であることその他の国土交通省令で定める事由により、乗組み基準によらなくても航行の安全を確保することができると認める船舶については、船舶所有者の申請により、乗組み基準によらないことを許可することができる。

 


(6) 1978年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約の締約国が発給した条約に適合する船舶の運航又は機関の運転に関する[資格証明書]を受有する者であって国土交通大臣[承認]を受けたものは、海技免許を受けなくとも、船舶職員になることができる。

→ 根拠法令は、法23条1項。

(23条1項) 千九百七十八年の船員の訓練及び資格証明並びに当直の基準に関する国際条約(以下「条約」という。)の締約国が発給した条約に適合する船舶の運航又は機関の運転に関する資格証明書(以下「締約国資格証明書」という。)を受有する者であつて国土交通大臣の承認を受けたものは、第四条第一項の規定にかかわらず、船舶職員になることができる。

 


(7) 特定操縦免許を受けようとする者は、操縦試験に合格し、かつ、小型 [旅客安全]講習課程を修了していなければならない。

→ 根拠法令は、法23条の2第2項。

(法23条の2第2項) 操縦免許は、国土交通大臣が行う小型船舶操縦士国家試験(以下「操縦試験」という。)に合格した者(次条第一項第一号又は第二号に掲げる資格に係る操縦免許(国土交通省令で定める旅客の輸送の用に供する小型船舶の小型船舶操縦者になろうとする者に対する操縦免許に限る。以下「特定操縦免許」という。)にあつては、操縦試験に合格し、かつ、第四条第二項の講習の課程のうち小型船舶操縦者としての業務を行うに当たり必要なものとして国土交通大臣が定めるもの(以下この項において「小型旅客安全講習課程」という。)を修了した者又はその受けようとする特定操縦免許と同一の資格の操縦免許を既に有し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了した者)について行う。

 


(8) 小型船舶操縦士は、操縦免許証を[滅失]し、又はき損したときは、操縦免許証[再交付]申請書を国土交通大臣に提出し、操縦免許証の[再交付]を申請することができる。

→ 根拠法令は、施行規則86条1項。

(施行規則86条1項)小型船舶操縦士は、操縦免許証を滅失し、又はき損したときは、第二十四号様式による操縦免許証再交付申請書を国土交通大臣に提出し、操縦免許証の再交付を申請することができる。


(9) 二級小型船舶操縦士(第一号限定)試験は、試験開始期日の前日までに[15]歳九月以上の年齢の者でなければ、受けることができない。

→ 根拠法令は、施行規則98条

(98条) 操縦試験は、試験開始期日の前日までに次の各号に掲げる操縦試験の種別に応じ、それぞれ当該各号に定める年齢の者でなければ、受けることができない。
   一  二級小型船舶操縦士(第一号限定)試験及び特殊小型船舶操縦士
    試験 十五歳九月以上
   二  二級小型船舶操縦士(第二号限定)試験 十五歳九月以上十八歳
    未満
   三  その他の種別の操縦試験 十七歳九月以上

 


2.海技試験の免除に関する法令の規定を参照した次の各文章について、正しいものには○を、誤っているものには×を解答欄に記入せよ。(3点)


(1) 内燃機関四級海技士(機関)の資格を有する者が、五級海技士(機関)の資格について海技試験を受ける場合、学科試験の一部が免除される。

答え : ○

→ 根拠法令は、施行規則54条。

(施行規則54条) 次の表の上欄に掲げる海技試験を受ける者が同表の中欄に定める資格の海技士である場合には、それぞれ同表の下欄に定める試験科目については、筆記試験を行わない。

五級海技士(機関)試験

機関限定がなされた五級海技士(機関)又はこれより上級の資格

機関に関する科目(その二)・機関に関する科目(その三)・執務一般に関する科目

 


(2) 五級海技士(航海)の資格を有する者が、二級海技士(通信)の資格について海技試験を受ける場合、学科試験が免除される。

答え : ○

→ 根拠法令は、法13条の2第5項。

(法13条の2第5項)一級海技士(通信)、二級海技士(通信)、一級海技士(電子通信)、二級海技士(電子通信)又は三級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が五級海技士(航海)又はこれより上級の資格の海技士である場合及び三級海技士(通信)又は四級海技士(電子通信)の資格について海技試験を受ける者が六級海技士(航海)又はこれより上級の資格の海技士である場合には、学科試験を免除する。

 


(3) 四級海技士(電子通信)の資格を有する者が、二級海技士(通信)の資格について海技試験を受ける場合、学科試験が免除される。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法13条の2第5項。前述のとおり、五級海技士(航海)又はこれより上級の資格の海技士でないといけません。

 

3.海技免許の限定について、海技免許限定解除(変更)申請書の提出により解除することができるものを下欄のア~キの中から全て選び、その記号を解答欄に記入せよ。(1点)
ア.履歴限定 イ.船橋当直限定 ウ.機関当直限定 エ.機関限定
オ.能力限定 カ.設備等限定 キ.技能限定

答え : ア・オ

→ 根拠法令は、施行規則4条の2第1項及び3項。

(施行規則4条の2) 前条第一項又は第二項の規定による履歴限定を受けた者であつて、その履歴限定の変更又はその全部若しくは一部の解除(以下「履歴限定の解除等」という。)を申請するものは、第三号様式による海技免許限定解除(変更)申請書に、第三条第一項第二号又は第三号に規定する乗船履歴を証明する書類を添えて、国土交通大臣提出しなければならない。
2  前項の乗船履歴を証明する書類(第三条第一項第三号に規定するものに限る。)により証明される乗船履歴に係る職務の内容は、告示で定めるところにより記録され、かつ、国土交通大臣の求めに応じて証明することができるものでなければならない。
3  前条第五項の規定による限定(以下「能力限定」という。)を受けた者であつて、その能力限定の解除を申請するものは、第三号様式による海技免許限定解除(変更)申請書に、第四条の四の講習の課程を修了したことを証明する書類を添えて、国土交通大臣提出しなければならない。
4  国土交通大臣は、履歴限定の解除等又は能力限定の解除を行つたときは、登録事項を変更し、海技免状を書き換えて交付する。

 

4.三級海技士(機関)試験(身体検査及び口述試験)を受けるためには、次の乗船履歴表に定める乗船履歴を有しなければならない。
(乗船履歴表)
     船 舶            期 間    資 格・職 務
 総トン数20トン以上の乙区域    三年以上   なし・機関の運転
又は甲区域内において従業する
漁船


 出力1,500キロワット以上の    二年以上   四級海技士(機関)・機推進機関を有する沿海区域          関士(一等機関士を除く。)
を航行区域とする船舶 


 総トン数20トン以上の近海区   一年以上   四級海技士(機関)・機
域又は遠洋区域を航行区域とす          関長又は一等機関士
る船舶 


 今ここに、現在35歳の者が、以下の経験を有する場合において、当該者が三級海技士(機関)試験(身体検査及び口述試験)を受けるのに必要な乗船履歴を有しているか否か。有しているなら○、有していないなら×を解答欄に記入せよ。なお、以下に記載された船舶及び漁船は、いずれもこの法律が適用されているものである。(1点)


・17歳から19歳までの間に、総トン数33トン・出力800キロワットの乙区域内において従業する漁船に、機関部の当直部員として1年2月乗り組んだ履歴
・25歳から27歳までの間に、総トン数1,600トン・出力3,000キロワットの沿海区域を航行区域とする船舶に、四級海技士(機関)についての海技免許を有する二等機関士として1年9月乗り組んだ履歴
・31歳から32歳までの間に、総トン数199トン・出力1,000キロワットの遠洋区域を航行区域とする船舶に、四級海技士(機関)についての海技免許を有する一等機関士として2月乗り組んだ履歴

答え : ○

→ 施行規則24・25・29・30・31条。解答に至るプロセスは以下のとおり。

①施行規則24条3項がありますので、まずは、乗船履歴に試験開始日の前5年以内のものが含まれているか確認します。すると、最終の履歴が32歳のときですので、ここはOKです。

②次に、乗船履歴としてカウントされないものを排除します。施行規則29条2号によって、20歳より前の履歴は乗船履歴にカウントされません。

③カウントされる乗船履歴を突き合わせてみても、それぞれ単独では必要な乗船履歴を超えません。そこで、異なる乗船履歴の合算(施行規則31条)を検討します。
 単純に乗船履歴を足すと、1年11月なので、必要な乗船履歴を満たしていないようにも思えますが、ここでもう一度施行規則31条をよみなおしてみましょう。「それぞれの期間の欄に定める最短乗船期間の比例により、いずれか最短乗船期間の長い方の履歴に換算して、これを通算する」と書いてあります。どう処理するのかわかりづらいのですが、比例により換算しますので、まずは最短乗船期間の比率を算出します。

 真ん中の乗船履歴は、最短乗船期間が2年、上から3つ目の乗船履歴は、最短乗船期間が1年なので、最短乗船期間が長いのは真ん中の乗船履歴で、その比率は2:1になります。

 この比率によって、比例により期間を換算します。最短乗船期間が長い方に換算する時は、短い方の期間に比率をかけますので、本問の場合、2月×2=4月であり、通算すると乗船期間は、2年1月で、必要な乗船履歴を満たしていることになります。


(施行規則24条) 海技士(通信)及び海技士(電子通信)の資格についての海技試験は、試験開始期日の前日までに十七歳九月に達する者でなければ、受けることができない。
2  海技試験は、試験開始期日の前日までに次条から第三十三条までに定める乗船履歴を有する者でなければ、受けることができない。ただし、第三十六条に規定する筆記試験を受ける場合は、この限りでない。
3  前項の乗船履歴には、試験開始期日の前五年以内のものが含まれていなければならない。
(施行規則25条)  海技試験を受けようとする者は、別表第五の海技試験の種別の欄に掲げる試験別に、同表の乗船履歴の欄に定める乗船履歴の一を有しなければならない。
(施行規則29条) 次の各号のいずれかに該当する履歴は、乗船履歴として認めない。
一  十五歳に達するまでの履歴
二  試験開始期日からさかのぼり、十五年を超える前の履歴
三  主として船舶の運航、機関の運転又は船舶における無線電信若しくは無線電話による通信に従事しない職務の履歴(三級海技士(通信)試験又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験に対する乗船履歴の場合を除く。)
(施行規則30条)  乗船履歴の乗船期間を計算するには、乗船の日から起算し、末日は終了しないときでも一日として算入する。
2  月又は年で定める乗船期間は、暦に従つて計算し、月又は年の始めから起算しないときは、その期間は最後の月又は年における起算日に応当する日の前日をもつて満了する。ただし、最後の月又は年に応当日がないときは、その月の末日をもつて満了するものとする。
3  乗船期間を計算するには、一月に満たない乗船日数は、合算して三十日になるときは一月とし、一年に満たない乗船月数は、合算して十二月になるときは一年とする。
(施行規則31条) 一の資格についての海技試験に対し、別表第五の乗船履歴中期間の欄に定める必要な乗船期間に達しない二以上の異なる乗船履歴を有するときは、それぞれの期間の欄に定める最短乗船期間の比例により、いずれか最短乗船期間の長い方の履歴に換算して、これを通算することができる。

                      以 上

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