平成27年 海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法
平成27年海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法の解説
1.法令の規定を参照した次の文章中の□に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。(10点)
(1) 海技免状の有効期間は、[五年]とする。
→ 根拠法令は、法7条の2第1項。
(2) 機関限定は、[二級]海技士(機関)の資格及びこれより下級の資格についての海技免許につき、内燃機関について行う。
→ 根拠法令は、法5条5項及び施行規則4条4項。
(法5条5項)国土交通大臣は、海技士(機関)に係る海技免許を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、船舶の機関の種類についての限定(以下「機関限定」という。)をすることができる。
(施行規則4条4項)法第五条第五項 の規定による機関限定は、二級海技士(機関)の資格及びこれより下級の資格についての海技免許につき、内燃機関について行う
(3) 海技士(通信)又は海技士([電子通信])に係る海技免許は、電波法の規定による[無線従事者]の免許又は船舶局[無線従事者]証明が取り消されたときは、その効力を失う。
→ 根拠法令は、法8条2項及び法7条の2第4項。
(8条2項) 海技士(通信)又は海技士(電子通信)に係る海技免許は、電波法第四十一条 の規定による無線従事者の免許又は船舶局証明が取り消されたときは、その効力を失う。
(7条の2第4項)海技士(通信)又は海技士(電子通信)に係る海技免状は、第一項の有効期間内であつても、電波法 (昭和二十五年法律第百三十一号)第四十八条の二 の規定による船舶局無線従事者証明(以下「船舶局証明」という。)が同法第四十八条の三 の規定により効力を失つたときは、その効力を失う。
(4) 海技試験は、身体検査及び[学科試験]とする。
→ 根拠法令は、法13条2項。
(13条2項) 海技試験は、身体検査及び学科試験とする。
(5) 小型船舶操縦者は、次に該当するときは、自ら小型船舶を操縦しなければならない。
・港則法に基づく港の区域を航行するとき
・海上交通安全法に基づく[航路]を航行するとき
・[特殊小型船舶]に乗船するとき
→ 根拠法令は、法23条の36第2項及び施行規則134条。
(23条の36第2項) 小型船舶操縦者は、小型船舶が港を出入するとき、小型船舶が狭い水路を通過するときその他の小型船舶に危険のおそれがあるときとして国土交通省令で定めるときは、自らその小型船舶を操縦しなければならない。ただし、乗船基準において必要とされる資格に係る操縦免許証を受有する小型船舶操縦士が操縦する場合その他の国土交通省令で定める場合は、この限りでない。
(施行規則134条) 法第二十三条の三十六第二項 の国土交通省令で定めるときは、次の各号に掲げるときとする。
一 港則法 (昭和二十三年法律第百七十四号)に基づく港の区域を航行するとき。
二 海上交通安全法 (昭和四十七年法律第百十五号)に基づく航路を航行するとき。
三 特殊小型船舶に乗船するとき。
(6)[帆船]以外の小型船舶であって沿海区域の境界からその外側[八十]海里以遠の水域(母船に搭載される小型船舶にあっては、当該水域のうち当該母船から半径二海里以内の水域を除く。)を航行するものにあっては、小型船舶操縦者のほか、機関長として、六級海技士(機関)の資格又はこれより上級の資格についての海技免許を受けた者を乗船させなければならない。
→ 根拠法令は、法23条の35第1項、施行令11条1項及び施行規則125条。一つずつ条文をたどっていくと答えにたどり着けます。
(法23条の35第1項) 船舶所有者は、航行の安全を確保するために機関長又は通信長を乗船させる必要がある小型船舶として政令で定める小型船舶にあつては、政令で定める基準に従い、小型船舶操縦者のほか、海技免状を受有する海技士を乗船させなければならない。
(施行令11条1項) 機関長に係る法第二十三条の三十五第一項 の政令で定める小型船舶は、帆船以外の小型船舶であつて国土交通省令で定める区域を航行するものとし、機関長に係る同項 の政令で定める基準は、これに、機関長として、六級海技士(機関)の資格又はこれより上級の資格についての海技免許を受けた者を乗船させることとする。
(施行規則125条) 令第十一条第一項 の国土交通省令で定める区域は、沿海区域の境界からその外側八十海里以遠の水域(母船に搭載される小型船舶にあつては、当該水域のうち当該母船から半径二海里以内の水域を除く。)とする。
(7) 登録小型船舶教習所において教習に関する事務を管理する者は、学校等である場合を除き、[25]歳以上の者でなければならない。
→ 根拠法令は、法23条の28、17条の4、施行令8条、施行規則3条の6第1号。結構やっかい。
(23条の28)第十七条の四から第十七条の十三まで及び第十七条の十五(同条第五号を除く。)の規定は、登録小型船舶教習所、登録小型船舶教習実施機関及び登録小型船舶教習事務について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
(23条の26第2項3号) 法人であつて、登録小型船舶教習所における小型船舶操縦者の教習に関する事務(以下「登録小型船舶教習事務」という。)を行う役員のうちに前二号のいずれかに該当する者があるもの
(法17条の4) 登録海技免許講習実施機関は、公正に、かつ、第23条の26第1項(第十七条の二第一項を、施行令8条に従って読み替え)に規定する要件及び国土交通省令で定める基準に適合する方法により登録海技免許講習事務を行わなければならない。
(施行規則3条の6) 法第十七条の四 の国土交通省令で定める基準は、次に掲げるものとする。
一 次に掲げる要件に適合する者(以下「登録海技免許講習管理者」という。)が、登録海技免許講習事務を管理すること(登録海技免許講習実施機関が、学校教育法 (昭和二十二年法律第二十六号)第一条 の大学、高等専門学校、高等学校若しくは中等教育学校若しくは同法第百二十四条 の専修学校であつて船舶の運航若しくは機関の運転に関する学術を教授するもの又は海上自衛隊第一術科学校、海上自衛隊第二術科学校、海上保安大学校、海上保安学校、国立研究開発法人水産研究・教育機構若しくは独立行政法人海技教育機構(以下「学校等」という。)である場合を除く。)。
イ 二十五歳以上の者であること。
2.海技免状の有効期間の更新の申請に関する法令の規定を参照した次の文章中のに入る適切な語句を解答欄に記入せよ。(7点)
海技免状の有効期間の更新を申請する者は、当該免状の有効期間が満了する日以前[一年]以内に、申請書に次に掲げる書類等を添えて、国土交通大臣に提出しなければならない。
① 海技士身体検査証明書(申請日以前[三月]以内に[指定医師]により受けた検査の結果を記載したものをいう。)又は[海技士身体検査合格証明書](申請日以前[一年]以内に海技試験の身体検査を受け、交付されたものに限る。)
② 次のいずれかの書類
・[乗船履歴]を有することを証明する書類
・[乗船履歴]を有する者と[同等以上]の知識及び経験を有することについて認定を受けた者であることを証明する書類
・[登録海技免状更新講習]の課程を修了したことを証明する書類
→ 根拠法令は、法7条の2第2項・3項及び施行規則9条の5第1項。
(法7条の2) 海技免状の有効期間は、五年とする。
2 前項の有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる。
3 国土交通大臣は、前項の規定による海技免状の有効期間の更新の申請があつた場合には、その者が国土交通省令で定める身体適性に関する基準を満たし、かつ、次の各号のいずれかに該当する者であると認めるときでなければ、海技免状の有効期間の更新をしてはならない。
一 国土交通省令で定める乗船履歴を有する者
二 国土交通大臣が、その者の業務に関する経験を考慮して、前号に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認定した者
三 その資格に応じ海難防止その他の船舶職員としての職務を行うに当たり必要な事項に関する最新の知識及び能力を習得させるための講習(以下「海技免状更新講習」という。)であつて第十七条の十六及び第十七条の十七において準用する第十七条の二の規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録海技免状更新講習」という。)の課程を修了した者
(施行規則9条の5) 法第七条の二第二項 の規定により海技免状の有効期間の更新を申請する者は、当該海技免状の有効期間が満了する日以前一年以内に第六号様式による海技免状更新申請書に次に掲げる書類を添えて、国土交通大臣に提出しなければならない。
一 第七号様式による海技士身体検査証明書(申請日以前三月以内に指定医師(船員法施行規則 (昭和二十二年運輸省令第二十三号)第五十五条第一項 に規定する指定医師をいう。以下同じ。)により受けた検査の結果を記載したものをいう。第九条の八第一項第一号、第八十条第一項第一号及び第八十五条第一項第一号において同じ。)又は海技士身体検査合格証明書(申請日以前一年以内に第四十条の規定による身体検査を受け、交付されたものに限る。第九条の八第一項第一号、第八十条第一項第一号及び第八十五条第一項第一号において同じ。)
二 法第七条の二第三項第一号 に掲げる者にあつては、同号 の乗船履歴を有することを証明する書類
三 法第七条の二第三項第二号 に掲げる者にあつては、同号 の認定を受けた者であることを証明する書類
四 法第七条の二第三項第三号 に掲げる者にあつては、同号 の講習の課程を修了したことを証明する書類
3.五級海技士(航海)試験(身体検査及び口述試験)を受けるためには、次の乗船履歴表に定める乗船履歴を有しなければならない。
(乗船履歴表)
船 舶 期 間 資 格 備 考
総トン数十トン以上の船舶 三年以上 船舶の運航
総トン数二十トン以上の船舶 一年以上 六級海技士 船長又は
航海士(航海)
今ここに、現在40歳の者が、以下の経験を有する場合において、当該者が五級海技士(航海)試験(身体検査及び口述試験)を受けるのに必要な乗船履歴を有しているか否か。有しているなら○、有していないなら×を解答欄に記入せよ。なお、以下に記載された船舶は、いずれもこの法律が適用されているものである。(1点)
・20歳から24歳までの間に、総トン数500トン・出力750キロワットの近海区域を航行区域とする船舶に、甲板部の当直部員として2年乗り組んだ履歴
・26歳から29歳までの間に、総トン数199トン・出力750キロワットの沿海区域を航行区域とする船舶に、六級海技士(航海)の資格についての海技免許を有する船長として6月乗り組んだ履歴
・30歳から33歳までの間に、総トン数1,600トン・出力3,000キロワットの沿海区域を航行区域とする船舶に、甲板部の当直部員として2年乗り組んだ履歴
答え : ☓
→根拠法令は、施行規則24条2項・3項。試験開始期日の前5年以内のものが含まれていないので、この時点で☓が確定します。
(施行規則24条2項)海技試験は、試験開始期日の前日までに次条から第三十三条までに定める乗船履歴を有する者でなければ、受けることができない。ただし、第三十六条に規定する筆記試験を受ける場合は、この限りでない。
(施行規則24条3項)前項の乗船履歴には、試験開始期日の前五年以内のものが含まれていなければならない。
4.この法律の適用に関する次のア~エのうち、正しいものを1つ選び、その記号を解答欄に記入せよ。(1点)
ア.日本船舶以外の船舶については、この法律が適用されることはない。
答え : ☓
→ 2条1項柱書において、日本船舶以外の船舶についても適用がある場合があることが定められています。
イ.長さ3メートルの船舶であっても港則法が適用される港内のみを航行するものについては、この法律が適用されることはない。
答え : ☓
→ このような規程はありません。
ウ.国土交通大臣が指定する水域のみを航行する船舶については、この法律が適用されることはない。
答え : ○
→ 法2条1項及び施行規則2条2項3号。
エ.ろかいのみをもって運転する舟であっても港則法が適用される港内を航行するものについては、この法律が適用されることがある。
答え : ☓
→ 法2条1項1号ろかいのみをもって運転する舟については、このような例外はありません。
(2条1項) この法律において「船舶」とは、第二十九条の三に規定する場合を除き、日本船舶(船舶法 (明治三十二年法律第四十六号)第一条 に規定する日本船舶をいう。以下同じ。)、日本船舶を所有することができる者が借り入れた日本船舶以外の船舶(国土交通省令で定めるものを除く。)又は本邦の各港間若しくは湖、川若しくは港のみを航行する日本船舶以外の船舶であつて、次に掲げる船舶以外のものをいう。
一 ろかいのみをもつて運転する舟
二 係留船その他国土交通省令で定める船舶
(施行規則2条2項)法第二条第一項第二号 の国土交通省令で定める船舶は、次に掲げる船舶とする。
一 長さが三メートル未満であり、推進機関の出力が一・五キロワット未
満である船舶であつて、国土交通大臣が指定するもの
二 係留船、被えいはしけその他これらに準ずる船舶
三 国土交通大臣が指定する水域のみを航行する船舶
四 前三号に掲げる船舶のほか、船舶の航行の安全の確保に支障がないも
のとして告示で定める船舶
5.小型船舶操縦士の免許に関する次のア~エのうち、正しいものを1つ選び、その記号を解答欄に記入せよ。(1点)
ア.十八歳に満たない者には、一級小型船舶操縦士の免許を与えない。
答え : ○
→ 根拠法令は、法23条の4第1号ロ。
(法23条の4)次の各号のいずれかに該当する者には、操縦免許を与えない。
一 次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める年齢に満たない者
イ 二級小型船舶操縦士(技能限定をする場合に限る。)及び特殊小型船
舶操縦士 十六歳
ロ その他の資格 十八歳
二 第六条第一項第二号又は第三号に該当する者
イ.小型船舶操縦士の免許は、小型船舶操縦士が上級の資格についての操縦免許を受けたときにのみ失効する。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法23条の6。ほかにも失効する場合があります。
(23条の6) 小型船舶操縦士が上級の資格についての操縦免許を受けたとき、又は技能限定をした操縦免許を受けた者が同一の資格についての限定をしない操縦免許若しくは限定がより緩和された技能限定をした操縦免許を受けたときは、下級の資格についての操縦免許又は従来受けていた技能限定をした操縦免許は、その効力を失う。
ウ.一級小型船舶操縦士の免許を受けた者は、特殊小型船舶操縦士の免許を受けたものとみなす。
答え : ☓
→ このような規程はありません。
エ.一級小型船舶操縦士の免許は、操縦試験に合格し、かつ、小型旅客安全講習の課程を修了した者について行う。
答え : ☓
→ 根拠法令は、法23条の2第2項。特定操縦免許を取得しようとする場合にのみ、小型旅客安全講習課程の終了が必要になります。
(23条の2第2項) 操縦免許は、国土交通大臣が行う小型船舶操縦士国家試験(以下「操縦試験」という。)に合格した者(次条第一項第一号又は第二号に掲げる資格に係る操縦免許(国土交通省令で定める旅客の輸送の用に供する小型船舶の小型船舶操縦者になろうとする者に対する操縦免許に限る。以下「特定操縦免許」という。)にあつては、操縦試験に合格し、かつ、第四条第二項の講習の課程のうち小型船舶操縦者としての業務を行うに当たり必要なものとして国土交通大臣が定めるもの(以下この項において「小型旅客安全講習課程」という。)を修了した者又はその受けようとする特定操縦免許と同一の資格の操縦免許を既に有し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了した者)について行う。
このままだとちょっとわかりにくいですが、読み替えをしたり、()内を削ると、
操縦免許は、操縦試験に合格した者(特定操縦免許にあつては、操縦試験に合格し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了した者又はその受けようとする特定操縦免許と同一の資格の操縦免許を既に有し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了した者)について行う。
となっていることがわかります。
以上