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平成26年 海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法

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平成26年海事代理士試験 船舶職員及び小型船舶操縦者法の解説

 

1.法令の規定を参照した次の文章中、 に入る適切な語句又は数字を解答欄に記入せよ。(10 点)

(1) 海技免許の申請は、申請者が海技試験に合格した日から[1年以内]にこれをしなければならない。

→ 根拠法令は、法4条3項。

 

(2) 能力限定は、海技士(航海)に係る海技免許につき、[電子海図情報表示装置]についての知識及び技能に応じ、[電子海図情報表示装置]を有しない船舶について行う。

→ 根拠法令は、法5条6項及び施行規則4条5項。「能力限定」は、法令上は出てきません。

(法5条6項) 国土交通大臣は、海技免許を行う場合においては、国土交通省令で定めるところにより、海技免許を受ける者の身体の障害その他の状態に応じ、船舶職員として乗り組む船舶の設備その他の事項についての限定をすることができる

(施行規則4条5項)法第五条第六項 の規定による限定は、海技士(航海)に係る海技免許につき、電子海図情報表示装置(船舶設備規程 (昭和九年逓信省令第六号)第百四十六条の十の二 に規定する電子海図情報表示装置をいう。以下同じ。)についての知識及び技能に応じ、電子海図情報表示装置を有しない船舶について行う。

 

(3) 六級海技士(機関)の資格についての海技免許を受けようとする者は、登録海技免許講習実施機関が行う[機関救命講習]及び[消化講習]の課程を修了していなければならない。

→ 根拠法令は、施行規則3条の2第1項前段。

(施行規則3条の2第1項) 次の表の上欄に掲げる資格についての海技免許を受けようとする者は、それぞれ同表の下欄に定める講習であつて登録海技免許講習実施機関が行うものの課程を修了していなければならない。この場合において、当該受けようとする海技免許以外の海技免許を受けるために既に修了した講習の課程については、再度修了することを要しない。

 

(4) 次のいずれかに該当する履歴は、乗船履歴として認めない。
・ [十五]歳に達するまでの履歴
・主として[船舶の運行]、機関の運転又は船舶における無線電信若しくは[無線電話]による通信に従事しない職務の履歴(三級海技士(通信)試験又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験に対する乗船履歴の場合を除く。)

→ 根拠法令は、施行規則29条1号・3号

(施行規則29条)  次の各号のいずれかに該当する履歴は、乗船履歴として認めない。
一  十五歳に達するまでの履歴
二  試験開始期日からさかのぼり、十五年を超える前の履歴
三  主として船舶の運航、機関の運転又は船舶における無線電信若しくは無線電話による通信に従事しない職務の履歴(三級海技士(通信)試験又は海技士(電子通信)の資格についての海技試験に対する乗船履歴の場合を除く。)

 

(5) [特定操縦免許]を受けようとする者は、操縦試験に合格し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了していなければならない。

→ 根拠法令は、法23条の2第2項。

(法23条の2第2項) 操縦免許は、国土交通大臣が行う小型船舶操縦士国家試験(以下「操縦試験」という。)に合格した者(次条第一項第一号又は第二号に掲げる資格に係る操縦免許(国土交通省令で定める旅客の輸送の用に供する小型船舶の小型船舶操縦者になろうとする者に対する操縦免許に限る。以下「特定操縦免許」という。)にあつては、操縦試験に合格しかつ、第四条第二項の講習の課程のうち小型船舶操縦者としての業務を行うに当たり必要なものとして国土交通大臣が定めるもの(以下この項において「小型旅客安全講習課程」という。)を修了した者又はその受けようとする特定操縦免許と同一の資格の操縦免許を既に有し、かつ、小型旅客安全講習課程を修了した者)について行う。

→ まとめると、
①操縦免許は、国土交通大臣が行う操縦試験に合格した者について行う。

 

(6) 一級小型船舶操縦士の資格についての操縦免許は[十八]歳に満たない者、特殊小型船舶操縦士の資格についての操縦免許は[十六]歳に満たない者には与えない。

→ 根拠法令は、法23条の4。

(法23条の4)  次の各号のいずれかに該当する者には、操縦免許を与えない。
一  次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める年齢に満たない者
 イ 二級小型船舶操縦士(技能限定をする場合に限る。)及び特殊小型船舶
  操縦士 十六歳

 ロ その他の資格 十八歳
二  第六条第一項第二号又は第三号に該当する者

 

2.小型船舶操縦士国家試験の申請に関する法令の規定を参照した次の文章中、に入る適切な語句を解答欄に記入せよ。(7点)

 操縦試験を申請する者は、[操縦試験申請書(小型船舶操縦士国家試験申請書)]に写真及び次に掲げる書類等を添えて、操縦試験を受ける地を管轄する地方運輸局を経由して国土交通大臣(指定試験機関の行う操縦試験を申請する者にあっては、操縦試験を受ける地を管轄する指定試験機関の事務所)に提出しなければならない。
・住民票の写しその他の氏名及び[出生の年月日]を証明する書類
小型船舶操縦士にあっては[小型船舶操縦免許証(操縦免許証)]の写し、海技士にあっては[海技免状]の写し
・身体検査の省略を受けようとする者にあっては、小型船舶操縦士身体検査合格証明書又は海技士身体検査合格証明書( 海技士(航海)]の資格に係るものに限る。)
・登録小型船舶教習所の課程を修了した者であって、[学科試験]又は[実技試験]の免除を受けようとする者にあっては、登録小型船舶教習所の発行する修了証明書

→根拠法令は、施行規則99条。

(施行規則99条)  操縦試験を申請する者は、第二十五号様式による操縦試験申請書に写真及び次に掲げる書類を添えて、操縦試験を受ける地を管轄する地方運輸局を経由して国土交通大臣(指定試験機関の行う操縦試験を申請する者にあつては、操縦試験を受ける地を管轄する指定試験機関の事務所)に提出しなければならない。
一  住民票の写しその他の氏名及び出生の年月日を証明する書類
二  小型船舶操縦士又は海技士にあつては、操縦免許証又は海技免状の写し三  第百一条第二項の規定による身体検査を受けようとする者にあつては、医師により試験開始日前六月以内に受けた検査の結果を記載した第二十三号様式による小型船舶操縦士身体検査証明書
四  第百七条の規定による身体検査の省略(同条第一号又は第二号の場合に限る。)を受けようとする者にあつては、小型船舶操縦士身体検査合格証明書又は海技士身体検査合格証明書(海技士(航海)の資格に係るものに限る。)
五  学科試験に合格している者にあつては、学科試験合格証明書
六  実技試験に合格している者にあつては、実技試験合格証明書
七  第百十二条第一項の規定により実技試験の免除を受けようとする者にあつては、同条第二項において準用する第三十二条の規定による乗船履歴の証明書(第百十二条第一項の規定により実技試験の免除を受けようとする者で一眼が見えないものにあつては、当該証明書及び一眼が見えなくなつた時期を証明する書類)
八  第百十三条の規定による学科試験又は実技試験の免除を受けようとする者にあつては、登録小型船舶教習所の発行する修了証明書(学科試験の免除を受けようとする者にあつては学科試験に対応する必要履修科目を、実技試験の免除を受けようとする者にあつては実技試験に対応する必要履修科目を修得した旨を証明する証明書。以下同じ。)

 

3.内燃機関五級海技士(機関)試験(身体検査及び口述試験)を受けるためには、次の乗船履歴表に定める乗船履歴を有しなければならない。

(乗船履歴表)
     船 舶         期  間    資   格    備  考

 総トン数十トン以上の船舶   三年以上   な   し   機関の運転

総トン数二十トン以上の船舶   一年以上 六級海技士(機関) 機関長又
                               は機関士

今ここに、現在 40 歳の者が、以下の経験を有する場合において、当該者が内燃機関五級海技士(機関)試験(身体検査及び口述試験)を受けるのに必要な乗船履歴を有しているか否か。有しているなら○、有していないなら×を解答欄に記入せよ。なお、以下に記載された船舶は、いずれもこの法律が適用されているものである。(1点)

・27 歳から 29 歳までの間に、総トン数 200 トン・出力 750 キロワットの沿海区域を航行区域とする船舶に、六級海技士(機関)の資格についての海技免許を有する一等機関士として6月乗り組んだ履歴

30 歳から 33 歳までの間に、総トン数 500 トン・出力 1,500 キロワットの沿海区域を航行区域とする船舶に、機関部の当直部員として2年6月乗り組んだ履歴

答え : ☓

(解説)法14条1項・施行規則24条2項により、海技試験を受験するためには、資格別の乗船履歴が必要となります。
 本問では、内燃機関五級海技士(機関)試験を受けるために必要な乗船履歴が問題文に記載されているので、実質的な問題の内容は、当該人物が必要な乗船履歴を有しているかどうかを検討することです。

(法14条1項) 海技試験は、第五条第一項各号に定める資格別(海技免許について船橋当直限定若しくは機関当直限定又は機関限定をする場合においては、資格別かつ職務別又は資格別かつ船舶の機関の種類別)に、国土交通省令で定める乗船履歴を有する者でなければ、受けることができない。ただし、国土交通省令で定める学科試験の一部については、この限りでない。

(施行規則24条) 海技士(通信)及び海技士(電子通信)の資格についての海技試験は、試験開始期日の前日までに十七歳九月に達する者でなければ、受けることができない。
2  海技試験は、試験開始期日の前日までに次条から第三十三条までに定める乗船履歴を有する者でなければ、受けることができない。ただし、第三十六条に規定する筆記試験を受ける場合は、この限りでない。
3  前項の乗船履歴には、試験開始期日の前五年以内のものが含まれていなければならない。

 ですが、本問の場合、もっとも近い乗船履歴が7年前の33歳のときのものなので、試験開始期日の前5年以内の乗船履歴がありません。したがって、施行規則25条以下に従って乗船履歴を検討するまでもなく、乗船履歴を有していないことが確定し、答えは☓になります。

 なので、実質的には施行規則24条3項を知っているかどうかだけを問うている問題でした。

 

4.三級海技士(航海)の資格についての海技免状を受有する者が、以下の(1)又は(2)の経験を有する場合において、当該者が海技免状の有効期間の更新のために必要な乗船履歴をそれぞれ有しているか否か。有しているなら○、有していないなら×を解答欄に記入せよ。なお、以下に記載された船舶は、いずれもこの法律が適用されているものである。(2点)

(1)受有する海技免状の有効期間が満了する日以前5年以内に、総トン数 5,000トン・出力 6,000 キロワットの遠洋区域を航行区域とする船舶に、甲板部の当直部員として1年乗り組んだ履歴

答え : ☓

→ 根拠法令は、法7条の2第3項1号及び施行規則9条の3第1項。船長・航海士又は運航士として乗り組んでいないので、乗船履歴を有しているとはいえません。

(法7条の2) 海技免状の有効期間は、五年とする。
2  前項の有効期間は、その満了の際、申請により更新することができる。3  国土交通大臣は、前項の規定による海技免状の有効期間の更新の申請があつた場合には、その者が国土交通省令で定める身体適性に関する基準を満たし、かつ、次の各号のいずれかに該当する者であると認めるときでなければ、海技免状の有効期間の更新をしてはならない。
一  国土交通省令で定める乗船履歴を有する者
二  国土交通大臣が、その者の業務に関する経験を考慮して、前号に掲げる者と同等以上の知識及び経験を有すると認定した者
三  その資格に応じ海難防止その他の船舶職員としての職務を行うに当たり必要な事項に関する最新の知識及び能力を習得させるための講習(以下「海技免状更新講習」という。)であつて第十七条の十六及び第十七条の十七において準用する第十七条の二の規定により国土交通大臣の登録を受けたもの(以下「登録海技免状更新講習」という。)の課程を修了した者

(施行規則9条の3) 法第七条の二第三項第一号 の国土交通省令で定める乗船履歴は、次の各号に掲げる海技士の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める船舶職員として、受有する海技免状の有効期間が満了する日以前五年以内に一年以上乗り組んだ履歴又は第九条の五第一項若しくは第九条の五の三第一項から第三項までの規定により海技免状の有効期間の更新の申請をする日以前六月以内に三月以上乗り組んだ履歴とする。
一  海技士(航海)の資格の海技士 総トン数二十トン以上の船舶の船長、航海士又は運航士(運航士(二号職務)を除く。)
二  海技士(機関)の資格の海技士 総トン数二十トン以上の船舶の機関長、機関士若しくは運航士(運航士(一号職務)を除く。)又は令第十一条第一項 に定める機関長
三  海技士(通信)又は海技士(電子通信)の資格の海技士 船舶の通信長又は通信士

 

(2)受有する海技免状の有効期間の更新の申請をする日以前6月以内に、総トン数 500 トン・出力 1,500 キロワットの近海区域を航行区域とする船舶に、船長とし て3月乗り組んだ履歴 

答え : ○

→ 根拠法令は、法7条の2第3項1号及び施行規則9条の3第1項1号。

(施行規則9条の3) 法第七条の二第三項第一号 の国土交通省令で定める乗船履歴は、次の各号に掲げる海技士の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める船舶職員として、受有する海技免状の有効期間が満了する日以前五年以内に一年以上乗り組んだ履歴又は第九条の五第一項若しくは第九条の五の三第一項から第三項までの規定により海技免状の有効期間の更新の申請をする日以前六月以内に三月以上乗り組んだ履歴とする。
一  海技士(航海)の資格の海技士 総トン数二十トン以上の船舶の船長、航海士又は運航士(運航士(二号職務)を除く。)

ちょっと条文がわかりづらい気がしますが、結局、更新の申請をする日以前6月以内に3月以上の履歴があればOKですし、それがなくても有効期間満了前5年以内に1年以上の履歴があればOKということですね。

                                 以上

 

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