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平成28年 海事代理士試験 船員職業安定法

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平成28年海事代理士試験 船員職業安定法の解説

 


1.法令の規定を参照した次の文章中、 に入る適切な語句を下欄の語群から選び、その番号を解答欄に記入せよ。

(1)船員派遣元事業主は、国土交通省令で定めるところにより、派遣就業に関し、[派遣元管理]台帳を作成し、当該台帳に派遣船員ごとに船員職業安定法第77条第1項各号に掲げる事項を記載しなければならない。

→ 根拠法令は、船員職業安定法77条1項本文。

 

(2)無料船員職業紹介許可事業者は、告示で定める帳簿書類を備え付け、用済後[三年]間、これを保存しなければならない。

→ 根拠法令は、船員職業安定法施行規則16条。

 

(3)法令に違反して国土交通大臣に船員派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して[五年]を経過しない者は、船員派遣事業の許可を受けることができない。

→ 根拠法令は、船員職業安定法56条4号。

 (56条4号)次の各号のいずれかに該当する者は、前条第一項の許可を受けることができない。
 四  第百三条第一項の規定により船員派遣事業の許可を取り消され、当該取消しの日から起算して五年を経過しない

(103条1項) 国土交通大臣は、無料船員職業紹介事業者、船員の募集を行う者、無料船員労務供給事業者若しくは船員派遣元事業主が法令若しくはこれに基づく国土交通大臣若しくは地方運輸局長の処分に違反し、若しくはその事業若しくは業務が公益を害するおそれがあると認めるとき、又はこれらの者が許可に付された条件に違反したときは、その事業若しくは業務を停止し、又は許可を取り消すことができる。

 

 

(4)船員職業安定法で「派遣船員」とは、船舶所有者が[常時]雇用する船員であって、船員派遣の対象となるものをいう。

→ 根拠法令は、法6条12号。

 

(5)船員労務供給事業には、期間傭船契約による場合を除き、[請負契約]により人を船員として他人の指揮命令を受けて労務に従事させる事業を含む。

→ 根拠法令は、船員職業安定法施行規則22条。法6条9号・8号。

 

 

2.次の(1)~(5)の各文章について、正しいものに〇、誤っているものに×を付した場合の組合せを、下欄の1~4の選択肢から選び、その番号を解答欄に記入せよ。

(1)ア. 船員派遣事業の許可の有効期間は、当該許可の翌日から起算して3年である。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船員職業安定法55条1項・60条1項。

(55条1項) 国土交通大臣の許可を受けた者は、船員派遣事業を行うことができる。

(60条1項)第五十五条第一項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して三年とする。

 

イ. 船舶所有者を代表する団体は国土交通大臣に届け出て、無料の船員職業紹介事業を行うことができる。

答え : ☓

→ 根拠法令は、船員職業安定法34条1項。届出ではなく、許可制です。

  船舶所有者を代表する団体、船員を代表する団体、船舶所有者及び船員を代表する協同の団体又は公益を目的とする団体で次の条件を具備するものは、国土交通大臣の許可を受けて、無料の船員職業紹介事業を行うことができる。

 

(2)ア. 船舶所有者は、募集に従事する被用者に対し、いかなる名義でもその募集に対する報酬として、金銭その他の財物を給与してはならない。

答え : ○

→ 根拠法令は、法46条。

第四十六条  船舶所有者は、募集に従事する被用者に対し、いかなる名義でもその募集に対する報酬として、金銭その他の財物を給与してはならない。

 


イ. 船員派遣元事業主は、派遣船員を船員法第1条第1項に規定する船舶において就業させるための船員派遣をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法64条3項。ひっかけ。外国船舶派遣のときは届出が必要ですが、日本船舶については規定されていません。

3  船員派遣元事業主は、派遣船員を船員法第一条第一項に規定する船舶以外の船舶において就業させるための船員派遣(以下「外国船舶派遣」という。)をしようとするときは、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を国土交通大臣届け出なければならない。

 

(3)ア. 無料船員職業紹介許可事業者は、毎年4月30日までに、その年の前年の4月1日からその年の3月31日までの間における船員職業紹介所ごとの船員職業紹介事業に係る事業報告書を作成し、国土交通大臣に提出しなければならない。

 答え : ○

→ 根拠法令は、法39条1項及び施行規則17条1項。

(39条1項)  無料船員職業紹介許可事業者は、国土交通省令で定めるところにより、船員職業紹介所ごとの当該船員職業紹介事業に係る事業報告書を作成し、国土交通大臣に提出しなければならない。

(施行規則17条1項) 無料船員職業紹介許可事業者は、毎年四月三十日までに、その年の前年の四月一日からその年の三月三十一日までの間における船員職業紹介所ごとの船員職業紹介事業に係る事業報告書を作成し、国土交通大臣に提出しなければならない。

 

イ. 国土交通大臣は、無料の船員労務供給事業の許可申請書を受理したときは、交通政策審議会の意見を聴き、許可するかどうかを決定する。

答え : ○

→ 根拠法令は、法51条及び施行規則23条2項。

(51条) 労働組合等は、国土交通大臣の許可を受けたときは、無料の船員労務供給事業を行うことができる。

(施行規則23条) 法第五十一条 の許可を受けようとする労働組合等は、告示で定める事項を記載した許可申請書を、国土交通大臣に提出しなければならない。
2  国土交通大臣は、前項の許可申請書を受理したときは、交通政策審議会の意見を聴き、許可するかどうかを決定する。

 

(4)ア. 無料の船員職業紹介事業を行う学校の長は、当該学校の卒業生については船員職業紹介を行うことはできない。

答え : ☓

→ 根拠法令は、法40条1項1号・2号。専修学校だと、卒業生にも紹介できるからか?

(40条1項)  次の各号に掲げる施設の長は、国土交通大臣に届け出て、当該各号に定める者(これらの者に準ずる者として国土交通省令で定めるものを含む。)について、無料の船員職業紹介事業を行うことができる。

一  学校(小学校及び幼稚園を除く。) 当該学校の学生生徒等

二  専修学校(学校教育法第百二十四条 に規定する専修学校をいう。) 当該専修学校の生徒又は当該専修学校を卒業した者

 

イ. 船員派遣契約の解除は、将来に向かってのみその効力を生ずる。

答え : ○

→ 根拠法令は、法68条。

第六十八条  船員派遣契約の解除は、将来に向かつてのみその効力を生ずる。

 

(5)ア. 無料船員職業紹介許可事業者及びその従業者は、両替、質屋、酒類の販売の業務を行うことができないが、国土交通大臣の許可を受けたときは、当該業務を行うことができる。

答え : ☓

 根拠法令は、法37条1項本文・ただし書き。許可を受けてできるのは、飲食店・日用品の販売・宿泊所のみです。

第三十七条  無料船員職業紹介許可事業者及びその従業者は、次の業務を行うことができない。ただし、無料船員職業紹介許可事業者は、国土交通大臣の許可を受けたときは、第四号から第六号までの業務を行うことができる。
一  両替
二  質屋
三  酒類の販売
四  飲食店
五  日用品の販売
六  宿泊所

 この関係で面白いのが、同条2項ですが、それはまた今度。

 

イ. 船員派遣事業の許可を受けようとする者は手数料を納付しなければならないが、船員派遣事業の許可の有効期間の更新を受けようとする者は手数料を納付する必要はない。

答え : ☓

根拠法令は、法105条1号・3号、55条1項、60条2項。

(105条) 次に掲げる者は、実費を勘案して国土交通省令で定める額の手数料を納付しなければならない。
一  第五十五条第一項の許可を受けようとする者
二  第五十八条第三項の規定による許可証の再交付を受けようとする者
三  第六十条第二項の規定による許可の有効期間の更新を受けようとする者四  第六十一条第四項の規定による許可証の書換えを受けようとする者

(55条1項)国土交通大臣の許可を受けた者は、船員派遣事業を行うことができる。

(60条)第五十五条第一項の許可の有効期間は、当該許可の日から起算して三年とする。
2  前項に規定する許可の有効期間(当該許可の有効期間についてこの項の規定により更新を受けたときにあつては、当該更新を受けた許可の有効期間)の満了後引き続き当該許可に係る船員派遣事業を行おうとする者は、国土交通省令で定めるところにより、許可の有効期間の更新を受けなければならない。

                                                                                                                以 上

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